結論から言うと、SNS運用のAI活用は、もう「文章の下書きを手伝わせる」段階ではありません。アルゴリズムの調査から、投稿戦略(型)づくり、執筆、そして投稿までをAIと回す世界になっています。
人がやるのは、実体験というAIが持っていない材料を出すことと、チェックだけ。私たち Techt も、自社のX運用をこの形で回しています(この記事は2026年7月時点の情報です)。
AIと人の分担
最初に、全体の分担を示します。SNS運用は次の5つの工程でできていて、人にしかできないのは、ネタを考えることとチェックの部分だけです。
| 工程 | 担当 | 中身 |
|---|---|---|
| アルゴリズムの調査 | AI | 伸びる投稿の仕組みに関する公開情報を、AIに集めて整理させる |
| 投稿戦略(型)づくり | AI+人 | 調査結果をもとに「誰に・何を・どんなトーンで」をAIと検討する。決めるのは人 |
| ネタ(材料) | 人 | 実体験・出来事は、AIが持っていない唯一の材料。ネタ候補の整理はAIが手伝える |
| 執筆 | AI | 型とネタから、複数案の作成も媒体別の書き分けもAIの仕事 |
| 確認と投稿 | 人+AI | 事実とトーンを人が確認。投稿の実行は、つなげばAIに任せられる。世に出すOKは人 |
なお、AIが無断でアカウントを操作することはありません。投稿の実行まで任せるかは、人が決めます。
各SNSは誰に届き、何で伸びるか
手順の前に、各SNSがどんな人に届き、何をすると伸びるのかを整理します。当社がNotebookLMで集めた2025〜2026年の公開情報を、小さな会社向けにまとめたものです(2026年7月時点)。
| 媒体 | 主に届く人 | 伸びるカギ | 投稿で大事なこと |
|---|---|---|---|
| X(旧Twitter) | 文字で情報収集する層(ビジネス・時事) | 投稿の質と読まれた時間。ブックマークが強い加点。投稿後30分〜1時間の初動が分かれ目 | 1行目で止めて最後まで読ませる。保存したくなる具体情報。一次情報が必須 |
| 18〜34歳が最多。写真・動画で気分が動く層 | 発見タブとリールでフォロワー外へ。保存・シェアが強い指標 | 画像・リールが主役。キャプションは冒頭1〜2行で用件。タグは上限5個の厳選勝負 | |
| YouTube | 検索とおすすめから来る、じっくり知りたい層 | 評価軸はエンゲージメント率(いいね・コメント・シェア・保存)へ移行。投稿後24時間の初速が勝負 | 冒頭は結論から。ショートを入口に、ロングでファン化 |
この表はあくまで大まかな整理で、アルゴリズム自体も変わり続けます。型を作るときはこの表をそのまま渡さず、ステップ1のとおり最新の情報を集めてから作ってください。
投稿を作る5ステップ
ここからは、冒頭の分担表を実際の手順に落とします。Techtが自社のX運用でやっている流れ、そのままです。
1. アルゴリズムを調べて、投稿の「型」を作る
最初に一度だけ、自分の投稿の型を4つの要素で決めます。読んだ人に何をしてほしいかという呼びかけをCTAと呼びます。
誰に届けたいか
例:近隣の30〜40代の子育て世帯
何を伝えるか
例:商品の裏側、日々の気づき
CTA(お願い)
読んだ人にしてほしいこと。例:プロフィールのリンクを見てもらう
トーン
例:ていねいだけど堅すぎない、絵文字は控えめ
この4つを勘で決めないのが肝です。まず① 伸ばしたいSNSのアルゴリズム情報を集める。ここには、当社も使ったNotebookLMがおすすめです。Googleのサービスで、Googleアカウントがあれば無料。集まる情報源はGoogle検索の評価を通ったものが中心なので、あやしい記事が混ざりにくいのが利点です。
② 結果をファイルにして仕事場に置き、③ 「この情報を踏まえて、うちはどう投稿すべきか」をClaude CodeやCodexと検討して、投稿ルールに書き上げます。当社のX投稿ルールもこの作り方で、型をAIと作るようになってから案の質もトーンも安定しました。
作った型はファイルで残るので、2回目以降は「このネタで、いつもの型で」と頼むだけです。
2. ネタを決めて、材料を渡す
型で「誰に・何を」が決まっているので、ネタ候補の整理からAIに頼めます。出てきた方向性から、自分の実体験が乗るものを選びます。
ネタが決まったら、出来事や伝えたいことを箇条書きでAIに渡します。実体験が具体的なほど、文章も具体的になります。ここだけは人の仕事です。
3. AIに書かせて、複数案から選ぶ
「この型とネタで、X用に3案」と頼み、複数案から選んで直します。「同じネタでInstagram用も」と続ければ、書き分けまで一度に終わります。
4. 人がトーンと事実を確認する
出てきた案は、事実の誤り・数字の盛り・明らかな生成AI感・おかしな主張がないかを人が確認します。「自分ならこう言わない」と感じたら、手で直すか「もっと砕けた言い方に」とAIに直させます。
5. 人のOKで投稿する
最初は、仕上がった文面をコピペして投稿すれば十分です。面倒になってきたら、SNSのAPI(公式の接続口)とつないで確認済みの文面の投稿までAIに任せます。世に出すOKは人です。慣れれば、ステップ2〜5は投稿1本あたり数分です。
つまずきポイント3つと避け方
つまずきやすいのは次の3つです。
AIっぽい汎用文になる
材料を渡さず「投稿を書いて」とだけ頼んだときに起きます。実体験・固有名詞・普段の言い回しを材料として渡すのが対策です。
事実の誤り・盛りすぎ
AIは渡された情報が曖昧だと、それらしい表現で埋めることがあります。数字・実績・お客様に関する記述は、投稿前に必ず自分で確かめてください。
媒体を無視した使い回し
X向けの短文をそのままInstagramに貼る(またはその逆)と、どちらの読者にも届きにくくなります。書き分けはAIに任せられるので省略しないのがおすすめです。
まとめ
- SNSのAI活用は下書き代行ではない。調査→型づくり→執筆→投稿までAIと回し、人はネタとチェックを担う
- 伸びるカギは、X=質と読まれた時間、Instagram=保存・シェア、YouTube=エンゲージメント率(2026年時点)
- 型はNotebookLMで集めた情報をAIに渡して作る。ファイルで残せば2回目以降はネタだけ
- ネタ候補の整理はAI、実体験を書くのは人。執筆と書き分けはAI
- 事実と生成AI感のチェック、世に出すOKは人。慣れたらAPIで投稿までAIに
よくある質問
Q.SNS投稿はAIで自動化できますか?
かなりの範囲まで任せられます。アルゴリズムの調査、調査結果をもとにした投稿戦略(型)づくりの検討、文章の執筆と媒体別の書き分け、そしてSNSのAPI(公式の接続口)とつなげば投稿の実行までがAIの守備範囲です。人がやるのは、実体験というAIが持っていない材料を出すこと、事実とトーンの確認、世に出すOKを出すことです。AIがアカウントを無断で操作することはありません。私たちTechtも自社のX運用をこの分担で回しています。
Q.YouTubeにもAIは使えますか?動画も作れますか?
動画そのものの生成は、Claude CodeやCodexにはできません(動画生成は専用のAIの領分で、サービスの入れ替わりが速い分野です。有名だったOpenAIのSoraも2026年4月に提供を終えています)。任せられるのは、企画・台本・タイトルや概要欄の文章づくり、文字起こしツールを動かしての字幕作成、指定した区間の切り出しといった編集作業の一部です。2026年時点のYouTubeは、いいね・コメント・シェア・保存といったエンゲージメント率が評価の中心なので、視聴者が反応したくなる台本や問いかけをAIと練るのが、実務的な使いどころです。
Q.AIで作ったSNS投稿は「AIっぽい文章」になりませんか?
ネタとトーンの指定なしに「SNS投稿を書いて」とだけ頼むと、誰が書いても同じような汎用的な文になります。避けるコツは、自分の実体験・具体的な出来事・普段の言い回しを材料として渡し、「誰に・何を伝える・どんなトーンか」の型を先に決めることです。AIは渡された材料の範囲で書くので、材料が具体的なら文章も具体的になります。Techtでは最終のトーン確認は必ず人が行い、自分の言葉に直してから投稿しています。
Q.SNS投稿を作るなら、ChatGPTとClaude Codeのどちらがいいですか?
単発の投稿を1本作るだけならチャット型のAIでも十分です。Claude Codeが向くのは、投稿を続けたい場合です。「誰に・何を伝える・トーン」といった投稿の型や、過去の投稿・自社の情報をファイルとして手元に置いて参照させられるため、毎回同じ説明を繰り返さなくても、2回目以降はネタを渡すだけで型に沿った案が出ます。Techtも自社のX投稿は型を決めてClaude Codeに案を出させる運用で、都度ゼロから指示するより速く、トーンも安定します。
「型を一度つくること」から始まります。
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