結論から言うと、キャッチコピー作りでAIに任せるべきは「完成品を1本出すこと」ではなく、方向性の違う案を大量に出すことです。選んで磨くのは人の仕事。私たち Techt も、自社サービスのコピーをこの流れで作っています(2026年7月時点)。
キャッチコピーだけを作りたい人は、あまりいないはずです。実際はチラシ・HP・SNSを作る途中で、必ず「最初の一言」が要ります。この記事は、その一言の作り方だけを扱う部品です。チラシ全体の作り方はチラシの記事で、この型をそのまま使います。
AIと人の分担
魔法のように名コピーが1本出てくるわけではありません。人が事業の情報を渡す→AIが案を出す→人が選んで磨く、で初めて使いものになります。AIの強みは「量」。方向性の違う案を短時間で何十本も出せることです。
| 工程 | 誰がやるか | 理由 |
|---|---|---|
| 誰に・何を伝えるかを決める | 人 | 自分の商売とお客さんを知っているのは自分だけ |
| 案を大量に出す | AI | 方向性を変えながら数十案を短時間で出せる |
| 案を選ぶ | 人 | 届くかどうかの判断は、商圏とお客さんを知るあなたの仕事 |
| 言い回しを磨く | 人+AI | 人が方向を決め、言い換え案の量産はAIが手伝う |
| 事実確認・最終チェック | 人 | AIはあなたの商売の事実を知らない。事実の確認と言い過ぎの判定は人の仕事 |
コピーのセオリー
AIに案を出させる前に、効くコピーの決まりごとを知っておきます。これは好みの話ではなく、人間の認知の性質に基づいたセオリーです。案を出させる方向にも、選ぶときの物差しにもなります。
| セオリー | なぜ効くか | 悪いケース・良いケース |
|---|---|---|
| ベネフィットで語る | 人は商品の機能でなく「自分がどうなるか」で動く | 高性能カメラ搭載 暗い店内でも、メニューがきれいに撮れる |
| 具体が抽象に勝つ | 曖昧な形容詞は信用されない。数字は一瞬で伝わり、記憶に残る | 低価格・スピード制作 5万円〜・最短3日 |
| 自分ごと化させる | 人は自分に関係ある情報しか読まない。対象を絞るほど、その人には強く届く | HPを作りたい方へ 初めてHPを作る個人事業主へ |
| 損失回避に触れる | 人は「得る喜び」より「失う痛み」に2倍前後強く反応するとされる | 集客できるHPを HPがないだけで、問い合わせを逃していませんか |
| 1コピー1メッセージ | 主張を並べると互いに打ち消し合い、何も記憶に残らない | 安くて速くて高品質で安心 初めてでも、5万円から |
| 疑問に先回りする | 「安い」には「大丈夫?」が必ず浮かぶ。疑念を放置したコピーは選ばれない | 5万円〜 5万円〜。AIで作業を効率化しているから安い |
当社のコピーの社内ルールも、このセオリー+音読チェックでできています。以降は、これを出す方向の指定と、選ぶ物差しとして使います。
コピーを作る5ステップ
ここからは、私たちTechtが自社サービスのコピーで実際に回している手順です。

1. 「誰に・何を・どうなってほしいか」を書き出す
AIに頼む前に、この3点だけは人が決めます。「誰に」は具体的に(例:初めてHPを作る個人事業主)、「何を」は商品名でなくお客さんにとっての価値(例:集客まで考えたHP)、「どうなってほしいか」は読んだ後の行動(例:無料相談を申し込む)です。
ここが曖昧だと、どの会社にも当てはまる無難な案しか出ません。実際に言われたお客さんの言葉があれば、一緒に書き出します。「誰に」を絞るのが自分ごと化、「何を」を価値で書くのがベネフィットの下ごしらえです。
2. 使う場所と制約を伝える
同じ商売でも、HPの見出し・チラシ・SNSでは合う長さもトーンも違います。「HPの最初の見出しに使う。15〜25字。ですます調は不要」のように、使う場所・文字数・トーンを伝えます。
3. 方向性を変えながら大量に出してもらう
準備した情報を渡し、「キャッチコピー案を20本。ベネフィット軸・数字軸・問題提起(損失回避)軸に分けて」と、本数とセオリーの軸の両方を指定します。方向を分けると選択肢の幅が広がり、良い系統は「この系統でさらに10本」と枝分かれさせられます。
4. 人が4つの基準で選ぶ
数十本から5本程度に絞ります。基準は次の章の4つ(セオリー・お客さんに届くか・事実か・自社らしいか)。ここはAIに任せず、必ず自分の目で。お客さんの顔が浮かぶのはあなただけだからです。
5. 選んだ案を人が磨く
磨く方向もセオリーで決めます。抽象は具体に、機能はベネフィットに。「『安心』をもっと具体的な言葉に。言い換えを10通り」と方向は人が決め、量産はAIに。仕上げは実際に使う場所(HPなら画面、チラシなら紙面)に置いて、周りの要素と一緒に読んで判断します。
案の選び方
AIでの案出しに慣れると、今度は「案が多すぎて選べない」が次の壁になります。私たちが使っている選定基準は、この4つの順です。
セオリーに沿っているか
ベネフィットか、具体か、1メッセージか。前の章の6原則に反する案(抽象的な形容詞だけ・主張の全部盛り)は、好みに関係なく先に落とします。
お客さんの言葉に近いか
業界の中の人しか使わない言葉より、お客さんが実際に口にする言葉に近い案のほうが届きます。迷ったら、言われたことのある表現を含む案を残してください。
事実として言い切れるか
「地域No.1」「満足度98%」のような数字や順位は、根拠を示せるものだけ。自分が根拠を説明できない表現は落とします。
競合がそのまま使えない言葉か
どの同業者の看板に掛け替えても成立するコピーは、自社を選ぶ理由になりません。「うちだから言えること」が入っている案を優先します。
この4つで絞ると、たいてい5本前後が残ります。決めきれなければ、HPとチラシで別の案を使って反応で決める手もあります。
事実でない強み
AIは渡していない実績・数字・受賞歴をもっともらしく書くことがあります。入れる事実は必ず自分で根拠を確認してください。
言い過ぎ
効果や優位性を断定する表現は誇大表示になり得ます。特に健康・美容・金融は規制が厳しいので、迷ったら専門家に確認を。
似すぎ
有名なコピーや他社の商標に似た案が出ることがあります。採用前に検索して、酷似した表現が使われていないか確かめてください。
つまずきやすい3つ
「思ったより普通の案しか出ない」の原因は、ほぼ次の3つです。
渡す情報が薄い
「いい感じのキャッチコピーを作って」では、AIは一般論しか出せません。誰に・何を・どうなってほしいかとお客さんの声を渡すだけで質が変わります。
1回で終えている
最初の20案は「たたき台」です。「この系統でもっと柔らかく」と注文をつけて2〜3往復すると、案は育ちます。
AIに選ばせている
AIの推薦は一般論です。参考意見として聞くのは構いませんが、決めるのはお客さんを知っている自分、と線を引いてください。
繰り返すならClaude Code
ここまでは無料のチャット型AIでもできます。繰り返すならClaude Codeが有利です。事業情報に加えて「過去に採用・却下した表現とその理由」までファイルで引き継げるからです。
当社も感覚では決めません。まず検索データの分析ツールでお客さんが「どんな言葉で悩んでいるか」を実測し、その悩みへの訴求としてコピーを書きます。データ取得から訴求案までClaude Codeが一続きでやるので、「響きは良いが誰の悩みにも当たらない案」を選ぶ失敗が減りました。
まとめ
- 効くコピーは認知の性質で決まっている:ベネフィット・具体・自分ごと化・損失回避・1メッセージ・疑問への先回り
- 出すのはAI、選んで磨くのは人。出す方向も選ぶ物差しもセオリーを使う
- 頼む前に「誰に・何を・どうなってほしいか」と使う場所・文字数を人が決める
- 案はセオリー軸で20本など大量に出させ、4基準(セオリー・お客さんの言葉・事実・自社らしさ)で絞る
- 事実でない強み・言い過ぎ・似すぎは必ず人がチェック
- 繰り返すなら、事業情報と過去案を引き継げるClaude Codeが有利
よくある質問
Q.キャッチコピーにセオリー(決まりごと)はありますか?
あります。効くコピーは感性だけの世界ではなく、人間の認知の性質に基づいた原則がほぼ決まっています。代表的なのは、機能でなくベネフィット(自分がどうなるか)で語る、抽象的な形容詞でなく数字などの具体で語る、対象を絞って自分ごと化させる、「得」より「失う痛み」に触れる(損失回避)、1コピー1メッセージに絞る、「安い」に浮かぶ「大丈夫?」へ先回りする、の6つです。AIに案を出させるときはこのセオリーの軸で方向を指定し、選ぶときも物差しとして使うと、感覚頼みになりません。
Q.AIでキャッチコピーは作れますか?
作れます。ただし現実的なのは「案を大量に出すのはAI、選んで磨くのは人」という役割分担です。AIは方向性の違う案を短時間で何十本も出せますが、どの案が自分の商売とお客さんに合うかまでは判断できません。私たちTechtも自社サービスのコピーはClaude Codeで大量に案を出し、人が選んで磨く流れで作っています。最初から1本の完成品を求めず、選択肢を広げる道具として使うのがコツです。
Q.キャッチコピーをAIに頼むとき、何を伝えればいいですか?
最低限「誰に」「何を」「読んだ人にどうなってほしいか」の3点と、コピーを使う場所(HPの見出し・チラシ・SNSなど)を伝えてください。AIはあなたの商売やお客さんのことを知らないので、渡す情報が薄いとどの会社にも当てはまる無難な案しか出てきません。逆に、お客さんからよく言われる言葉や選ばれている理由を具体的に渡すほど、自社らしい案が出ます。案の質は渡す情報の質で決まります。
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