まず結論

要約を任せる =

短くさせることではなく、目的に合わせて要点を取り出させること

「このPDF、要約して」。そう頼んで、当たり障りのないまとめが返ってきた経験はないでしょうか。

私たち Techt は、仕様書・契約書・補助金の要綱などを毎日AI(Claude Code)に読ませて仕事を回しています。その実務でやっているのは「短くして」ではなく、読ませて、目的に沿って要点を取り出させることです。

実務の頼み方は、2段階です

人が資料を読むときも、目的があるから速く読めます。AIも同じで、頼み方は次の2段階に分けるのが実務の型です。

段階1:目的を添えて、読ませる

「◯◯に向けて、まずこのファイルを確認してください」と頼みます。

AIが資料を読み、中身を把握した状態を先に作ります。

段階2:目的に沿って、抽出させる

「◯◯を実施するにあたり、この中から△△の事柄を抽出して、要点を整理してください」と頼みます。

長さや観点は、目的からAIが判断します。細かく指定する必要はありません。

たとえば補助金の要綱なら、こうなります(「たとえば」の架空例ではなく、当社が実際に使っている形です)。

段階1(読ませる)

補助金の申請を検討しています。まず、この募集要項のファイルを確認してください。

段階2(目的に沿って抽出させる)

申請するかを判断するにあたり、この要項の中から「対象者・対象経費・上限額・申請期限・見落としやすい条件」を抽出して、要点を整理してください。

資料の中身をAIが把握しているので、段階2からは会話が速くなります。「対象経費のところ、もう少し詳しく」「うちの場合はどれに当たる?」と続けて聞けるのが、この型の良さです。

場面別の頼み方の例

段階2の文は、「◯◯するにあたり、△△を抽出して整理して」の形に、目的と見たい事柄を入れるだけです。

場面段階2の頼み方の例
契約書を確認する「この契約を結ぶか判断するにあたり、費用・期間・解約条件・こちらの義務・リスクを抽出して整理してください」
長い調査資料を読む「自社の販路を検討するにあたり、結論と根拠、うちの事業に関係する部分を抽出して整理してください」
補助金の要綱を読む「申請するかを判断するにあたり、対象者・対象経費・上限額・申請期限を抽出して整理してください」
議事録・長文メールを読む「次の打ち合わせの準備にあたり、決まったこと・自分の宿題・期限を抽出して整理してください」

当社も、江東区のホームページ作成費補助の募集要項(数十ページ)をこの2段階で処理しました。対象経費・上限額・期限・落とし穴だけを抽出させ、使うかどうかの判断が短時間で済みました。

もちろん、金額や期限の数字は原文に戻って人が裏取りしています。それでも、数十ページを最初から読むのとは、かかる時間がまるで違います。

仕事場を作ってあると、こう変わります
「この補助金、申請するか判断したい。要項から対象経費と締切をまとめて、うちが対象かも見て」
仕事場を作っておくと、AIが周辺の情報を自律的に集めてくるため「うちの場合は対象?」のような、資料の外の答えまで一度に返ってきます。仕事場のつくり方はAIを秘書にするで解説しています。

資料の入り口は2つ。仕事場(AIが読める1つのフォルダ体系)に置いてあるなら上の頼み方が通じますし、なければファイルを渡すところから始めれば大丈夫です。AIがあなたの資料を無断で開くことはありません。

最後の工程は人の確認

出てきた整理は、あくまで下書きです。金額・日付・数量・契約条件・固有名詞は、必ず元の資料に戻って人が確認します。AIは事実を取り違えたり、元の資料になかった内容を補ってしまうことがあるためです。

全体像はAIの整理でつかみ、判断のカギになる数字だけ原文で裏取りする。この二段構えで、速さと正確さを両立できます。

うまくいかないときの、つまずきポイント

目的を言っていない

「要約して」だけだと、AIは何が大事かを推測するしかなく、全体をまんべんなくなぞった当たり障りのないまとめが返ってきます。「何のために読むのか」を一言添えてください。

出てきた整理が目的とズレる

目的の言い方を変えて、もう一度頼みましょう。「判断に使うので、費用まわりを厚めに」のように、頼むことで目的に合った整理が可能になります。

資料が長すぎる

長い資料も、そのまま渡して大丈夫です。AIが自分で分けて読み進めます。仕上がりが浅いと感じたら「章ごとに読んでから、全体を整理して」と頼むと安定します。

画像として取り込まれたPDF(スキャン書類)

スキャンされたPDFも、基本はそのまま読めます。ただしスキャン時の画質が悪いと、文字をうまく読み取れないことがあります。大事な数字は原文で確認してください。

社外秘・個人情報の扱いを確認する
取引先から受け取った資料に「第三者のサービスに入力しない」といった秘密保持の取り決めがある場合があります。
迷うものは、AIに読ませる前に取引先や社内の責任者へ確認しましょう。当社も、お客様からお預かりした資料をAIで処理する場合は、事前にお客様の承認を得てから進めています。

まとめ

  • 「要約して」の丸投げをやめる。頼み方は「目的を添えて読ませる→目的に沿って抽出・整理させる」の2段階
  • 段階2の型は「◯◯するにあたり、△△を抽出して整理して」。長さや観点はAIが目的から判断する
  • 資料は仕事場に置いてあれば一言で通じる。なければ渡すところから
  • 金額・日付・契約条件などの大事な事実は、必ず元の資料に戻って人が裏取りする
  • 社外秘・個人情報を含む資料は、AIに読ませてよいかを先に確認する

よくある質問

Q.AIで長いPDFや資料を要約できますか?

できます。コツは「要約して」と丸投げしないことです。実務の頼み方は2段階で、まず「◯◯に向けて、このファイルを確認してください」と目的を添えて読ませ、次に「◯◯するにあたり、△△の事柄を抽出して要点を整理してください」と目的に沿って取り出させます。長さや観点はAIが目的から判断するので、細かい指定は不要です。ただし出てきた整理は下書きです。金額や日付、契約条件などの重要な事実は、必ず元の資料に当たって人が確認してください。

まずは手元の1つの資料で、「◯◯に向けて、まずこのファイルを確認して」から試してみてください。
読む時間の使い方が変わります。
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