結論から言うと、領収書に法律で決まった様式はなく、必要な項目さえそろっていれば手書きでもExcelでも構いません。ただし「日付・宛名・金額・但し書き・発行者」の5つは必ず入れます。
私たち Techt は、自社の経理を freee(会計ソフト)と Claude Code(クロードコード)で回している会社です。お客様への請求書も領収書も、実際に「AIに下書きを任せて、人が数字を確認する」型で発行しています。この記事では、その手順までお見せします。
この記事は、経理や税金にくわしくない個人事業主・小さな会社の方に向けて、2026年7月時点の領収書の書き方を、基本から手順に沿って整理したものです。むずかしい用語は出てきた場所で説明するので、順番に読めば1枚目の領収書が作れます。
先にひとつだけ大事なことを。領収書はお金を受け取った証拠になる書類なので、金額はAI任せにせず必ず人が確認してください。
領収書に最低限入れる5項目
領収書のフォーマットは自由ですが、「これがないと証拠として弱い」という項目は決まっています。まずは下の5項目がそろっているかを基準にしてください。
市販の複写式の領収書も、テンプレートを選ぶときも、この項目が埋められるかで判断できます。

| 記載項目 | 何を書くか | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| ① 日付 | 代金を受け取った日 | 空欄・年の記入漏れが多い。西暦か和暦かを統一する |
| ② 宛名 | 代金を払った相手の氏名・会社名 | 「上様」は避け、正式名称で書くのが基本 |
| ③ 金額 | 受け取った金額(税込) | 改ざん防止に「¥12,345※」など頭に記号・末尾に印を付ける |
| ④ 但し書き | 何の代金か(用途) | 「お品代」で済ませない。具体的に書く(次章) |
| ⑤ 発行者 | お金を受け取った側(自分)の屋号・氏名・住所 | 連絡先も添えると信頼性が上がる |
この5項目に加えて、税込金額の内訳(本体価格と消費税額)や、後で説明する登録番号を入れておくと、経費や消費税の処理で相手に喜ばれます。
金額の大きい領収書では、③の金額欄は、数字の頭に「¥」や「金」、末尾に「※」や「−(也)」を付けるなど、改ざんされにくい書き方を習慣にしておくと安心です。
但し書きの書き方
領収書でいちばん雑になりがちなのが、④の但し書きです。「お品代として」と書かれた領収書をよく見かけますが、但し書きは「何にお金を使ったか」を示す欄で、ここが曖昧だと、経費として認められにくくなることがあります。
税務調査で内容を問われたときに説明できるよう、具体的に書くのが基本です。
| 避けたい書き方 | おすすめの書き方 |
|---|---|
| お品代として | 書籍代として |
| お食事代として | 打合せの飲食代として(〇〇社様との会議) |
| 品物代として | 事務用品代として(コピー用紙・文具) |
コツは「勘定科目が思い浮かぶ言葉」で書くことです。「書籍代」なら新聞図書費、「飲食代」なら会議費や接待交際費、というように、経理する人が仕訳しやすい言葉を選びます。
発行する側は、相手に「但し書きはどうしますか」と一言聞いて、具体的に書いてあげると親切です。
領収書はインボイスにもなる
取引先が支払った消費税を差し引く(仕入税額控除)には「適格請求書(インボイス)」が必要になる、というインボイス制度の基本は「インボイス制度とは」で解説しました。ここで多くの方が誤解しがちなのが、「インボイス=請求書」ではないという点です。
決められた記載事項さえ満たせば、領収書やレシートも「適格簡易請求書(簡易インボイス)」としてインボイスの役割を果たせます(手書きでも構いません)。
適格簡易請求書の記載事項は、国税庁により次の5つと定められています(2026年7月時点)。通常の適格請求書と違い、宛名(交付先の名称)を省略できるのが「簡易」と呼ばれる理由です。
発行者の名称・登録番号
自分(お金を受け取る側)の屋号・氏名と、「T」+13桁の登録番号。
取引年月日
代金を受け取った日。
取引内容
何の代金か。軽減税率8%の対象があれば「その旨」も記載。
税率ごとの合計金額
10%対象・8%対象に分けた、税率ごとの合計額と適用税率。
税率ごとの消費税額
税率ごとに区分した消費税額(または適用税率)。
ただし、この簡易版を使えるのは小売業・飲食店業・タクシー業・駐車場業など、不特定多数の相手に反復して取引する事業に限られます。特定の取引先へ個別に領収書を出すような通常のBtoB取引では、宛名を省いた簡易版ではなく、宛名入りの適格請求書が必要です。
なお、登録番号を持てるのは登録した課税事業者だけで、免税事業者は領収書にも登録番号を書けません(登録するかどうかの判断の軸は「インボイス制度とは」で整理しています)。
電子でもらった領収書の保存
次に、もらった領収書の保存です。ここは近年ルールが変わったので、特に注意が必要です。
電子帳簿保存法により、メールやサイト上で電子的に受け取った領収書は、原則として電子データのまま保存しなければなりません。ネット通販の購入明細、PDFで届いた領収書、経費精算アプリ上の領収書などが対象です。
紙でもらった領収書は、これまでどおり紙で保管して問題ありません。電子で受け取ったものだけ電子保存、と覚えると迷いません。
電子データの保存には、国税庁が求める2つの条件があります。
真実性の確保
改ざんを防ぐ措置をとること。タイムスタンプや専用システムのほか、「改ざん防止の事務処理規程を定めて守る」方法でも構いません(小規模事業者はこれが現実的です)。
可視性の確保
「日付・金額・取引先」で検索できる状態にし、画面や印刷ですぐ確認できるようにしておくこと。ファイル名に日付・金額・取引先を入れておくと、この検索要件を満たしやすくなります。
収入印紙の要否
「紙で発行する領収書は記載金額5万円以上で収入印紙が必要、電子(PDF)なら金額にかかわらず不要」という基本は、「見積書・請求書・領収書・納品書の違い」で紹介したとおりです(国税庁No.7105、2026年7月時点)。発行する側として補足すると、売上代金の領収書の印紙は5万円以上100万円以下で200円、金額が上がるほど段階的に高くなります。
個人が私物を売ったときなど「営業に関しない」受取書は、金額にかかわらず非課税です。下の図で、印紙が必要かどうかを整理しました。

Claude Codeで領収書の下書きを作る5ステップ
必要な項目とルールが分かったら、次は作り方です。ここからは、Claude Codeに下書きを任せる手順を紹介します。
これは机上の話ではありません。当社はお客様への領収書を、実際にこの手順で発行しています。freeeとClaude Codeで回している経理運用の型の、領収書版です。
進め方は請求書の書き方で紹介した型と同じです。流れは次の5ステップです。
宛名・金額・但し書き・発行日を箇条書きで渡す
金額と日付はAIに推測させず、必ず人が正しい値を渡します。但し書きも「書籍代として」のように用途まで決めて渡すと確実です。
Claude Codeが下書きを作る
5項目に加えて、登録番号・税率ごとの合計額・消費税額といったインボイス対応の記載を含む下書きが出てきます。
5項目と但し書きを人が確認する
日付・宛名・金額・但し書き・発行者がそろっているかを見ます。但し書きが「お品代」のように曖昧になっていないかも、ここで直します。
金額を人が検算する
税込金額と消費税額を、電卓や会計ソフトで確かめます。いちばん大事な工程で、ここは省略できません。
PDFにして送り、控えは電子のまま保存する
PDFのまま渡せば、5万円以上でも収入印紙は不要です。控えは日付・金額・取引先が分かるファイル名で残しておきます。
コピペで使えるプロンプト
頼み方は、たとえば次の全文をそのまま使えます。◯の部分(宛名・金額・日付)は、ご自身の取引の値に置き換えてください。
Claude Codeに送る文章(コピペ用)
以下の内容で領収書の下書きを作ってください。
・宛名:◯◯株式会社 様
・金額:◯円(税込・消費税率10%)
・但し書き:書籍代として
・発行日:◯月◯日
・発行者:屋号/氏名/住所/登録番号(T+13桁)
インボイス対応の記載項目(登録番号・税率ごとの合計額・税率ごとの消費税額)も入れてください。
税抜金額と消費税額の内訳は、こちらで検算するので計算式も添えてください。1回目にこのプロンプトで作った下書きを「うちの領収書のひな形」として覚えさせておけば、2回目からは宛名・金額・但し書き・日付を渡すだけで済みます。
freeeなら発行まで任せられる
ここまでの5ステップは、会計ソフトを使っていなくてもできるやり方です。freeeを使っているなら、もう一歩進められます。
freeeの公式MCP(AIと会計ソフトをつなぐ仕組み)でつないでおくと、Claude Codeに頼むだけで、freee上に領収書そのものを作成するところまで進みます。宛名や登録番号、税率ごとの金額といったインボイス対応の体裁はfreeeの帳票の仕組みが整えるので、計算ミスの心配も減ります。
その場合も、発行前にfreeeの画面で金額を確かめて送るのは人の役目です。私たちもお客様への領収書はこの形で発行しています。つなぎ方と注意点はfreee・マネフォの記帳をAIに任せるで解説しています。
AIに任せないと決めること
領収書はお金を受け取った証拠になる書類です。だからこそ、AIに任せない部分をあらかじめ決めておきます。
金額と日付はAIに推測させない
お金の数字は必ず人が渡し、出てきた下書きも人が検算します。過去のメモから「たぶんこの金額」とAIに補わせるのは危険です。
紙で5万円以上なら、印紙の判断も人がする
前の章のとおり、紙の領収書は記載金額5万円以上で収入印紙が必要です。貼るかどうか・いくら貼るかの判断はAI任せにせず、人が確認します。
逆に、下書きの文面や但し書きの言い回しを整えるのはAIの得意分野です。下書きはAI、数字と判断は人という分担なら、速さと確実さが両立します。
金額の最終確認と発行・記録を freee のような会計ソフトで行う組み合わせは、経理×AIの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
- 領収書に決まった様式はないが、日付・宛名・金額・但し書き・発行者の5項目は必須
- 但し書きは「お品代」で済ませず、「書籍代として」など用途が分かるよう具体的に書く
- 登録番号など記載事項を満たせば、領収書・レシートも適格簡易請求書(インボイス)になる。ただし小売・飲食など不特定多数向けの取引に限る
- メール・PDFで受け取った領収書は電子のまま保存(電子帳簿保存法)。印刷して電子データを捨てるのは不可
- 紙で5万円以上は収入印紙が必要(No.7105)。電子で渡せば金額にかかわらず印紙は0円
- Claude Codeには宛名・金額・但し書き・発行日を箇条書きで渡して下書きを任せる。金額と日付は人が渡して人が検算し、紙で5万円以上なら印紙の判断も人がする
- freeeを使っているなら、公式MCPでつなげばfreee上に領収書を作成するところまで任せられる。発行前の金額確認は人が行う
よくある質問
Q.領収書の但し書きに「お品代」と書いてもいいですか?
「お品代」でも領収書として無効になるわけではありませんが、避けたほうがよいです。但し書きは経費の内容を示す欄で、「書籍代として」「打合せの飲食代として」のように何に使ったかが分かるよう具体的に書くのが基本です。中身が「お品代」だと、税務調査で内容を問われたときに説明が難しくなり、経費として認められにくくなることがあります。発行する側は、相手から用途を聞いて具体的に書いてあげると親切です。
Q.Claude Codeで領収書は作れますか?金額は正しく計算されますか?
下書きは作れます。宛名・金額・但し書き・発行日を箇条書きで渡せば、インボイス対応の記載項目を含む下書きが出ます。さらにfreeeを使っている場合は、freeeの公式MCP(AIと会計ソフトをつなぐ仕組み)でつなぐと、freee上に領収書を作成するところまで任せられます。ただし金額と日付はAIに推測させず、必ず人が正しい値を渡してください。AIは合計や消費税額を取り違えることがあり、領収書はお金を受け取った証拠になる書類なので、発行前の金額確認も必ず人が行います。私たちTechtも自社の経理はfreee(会計ソフト)とClaude Codeで運用しており、作成はAI、数字と判断は人、という線引きを徹底しています。
要は「5項目をそろえ、但し書きは具体的に、電子は電子のまま保存」。この基本を守るだけです。
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