結論から言うと、売上分析の現実的な分担は、AIが集計と傾向出しと打ち手の案まで、どの手を打つかの判断は人。これだけです。
私たち Techt は、会計ソフトとつないだClaude Code(クロードコード)で、毎月この分担を回している会社です。実際に回して分かったつまずきどころまで含めてお伝えします(2026年7月時点)。
売上分析の基本
方法の基本は1つだけ。合計の数字を「分けて」見ることです。
「今月の売上は◯◯円」だけでは良し悪ししか分かりません。「何が・誰に・いつ売れたか」で分けると、伸びている場所と落ちている場所が見えてきます。
| 分ける軸 | 見方の例 | 見えてくるもの |
|---|---|---|
| 商品・サービス別 | 品目ごとの売上構成。上位の品目が全体の何割か | 稼ぎ頭と、手間のわりに売れていないもの |
| 顧客・チャネル別 | 新規とリピートの割合。店頭・ネット・紹介などの経路別 | 売上を支えている顧客層と、伸ばせる経路 |
| 時期別 | 月別の推移。前年の同じ月との比較 | 季節の波と、波では説明できない増減 |
考え方は簡単でも、手を動かすと面倒な作業です。ここで挫折して「合計だけ見て終わり」になりがちですが、この面倒な集計こそAIの担当です。
データの入り口は2つ。おすすめは「つなぐ」
AIがあなたの許可なくレジや会計ソフトを見に行くことはありません。データの入り口は2つあります。
1つは、CSVや売上表を人が渡すやり方。今日から誰でも始められる基本形です。
もう1つは、会計ソフト(freeeなど)の公式MCPや決済サービス(Stripeなど)のAPIでつなぐやり方。最初に一度だけ設定が要りますが、つないでしまえば、毎月AIが自分でデータを取りに行く「自動で回る仕組み」になります。当社はこちらで運用しており、後ほど実例で紹介します。
できること
売上データを読んで、月別推移・商品別構成・前年比較などの集計を出す。傾向を言葉で説明し、打ち手の案(たたき台)まで列挙する。
できないこと
許可していないソフトや口座を勝手に見ること(取りに行くのは、つなぐと決めた範囲だけ)。あなたの商圏や顧客の顔を知ったうえで「この手が正解」と断定すること。
Claude Codeで売上を分析する5つの手順
まずは基本形(CSVを渡す)の手順です。Claude CodeはCSVをそのまま読めるので、表を貼り付ける必要はありません。

1. 売上データをCSVか表の形で用意する
レジ・会計ソフト・Excelから、直近12ヶ月分を書き出します。列は「日付・品目・金額」の3つあれば十分。きれいに整える必要はありません。
※AIが会計ソフトから取得するところからやってくれるやり方は、次項で解説します。
2. 「何を知りたいか」を1つ決めて、データと一緒に渡す
問いを1つに絞るのがコツです。たとえば「この1年で伸びた商品と落ちた商品は?」。決まらなければ「経営者がまず見るべき点を3つ挙げて」からでも構いません。
3. AIに傾向を出してもらう
月別推移・商品別構成・前年比較を集計し、「上位3品目で全体の◯割」のように傾向を言葉で説明してくれます。分からない用語は、その場で聞けば説明してくれます。
4. 傾向をもとに、打ち手の案を出してもらう
「この傾向を踏まえて、来月からできる打ち手の案を挙げて」と続けます。返ってくるのは案の一覧、つまりたたき台です。正解と受け取らないでください。AIはあなたの商圏も常連さんの顔も知りません。
5. 人が判断して、小さく試す
「これならやる意味がある」というものを人が選び、小さく試します。結果は翌月の数字に表れるので、また見る。この繰り返しです。
当社の実例
当社は会計ソフトのfreeeとClaude Codeを直接つないでいます。月初に「月次の数字まとめて」と一言頼むと、AIがfreeeから当月の数字を自分で取ってきます。
AIは取ってきた数字を、仕事場の「推移ファイル」に当月分として追記し、その月の気づき(所見)も書き溜めます。翌月はこの蓄積と新しい数字の両方がインプットになるので、「前月と比べてどう?」が一言で出てきます。
この仕組みで、売上が特定の1社に寄っている状況が数値ではっきり見え、自社サービスの営業を強める判断につながりました。つなぎ方はfreee・マネーフォワードの記帳をAIに任せる方法で解説しています。
蓄積ファイルの形式例(最初はこれで十分)
次の2つを仕事場に置き、AIに「この形式で毎月追記して」と頼めば、あとはAIが育ててくれます。①はExcelの表、②はメモ帳やWordの文書で大丈夫です。AIはどちらもそのまま読めます。
① 売上推移の表(1行 = 1ヶ月 × 1取引先)
| 年月 | 取引先(または商品) | 金額 | メモ |
|---|---|---|---|
| 2026年6月 | A社 | 660,000 | |
| 2026年6月 | B社 | 140,000 | 新規 |
| 2026年7月 | A社 | 660,000 |
② 所見メモ(新しい月を上に足していく)
2026年7月
売上は前月なみ。A社への依存が9割で変わらず。来月は新サービスの営業に時間を割く。
2026年6月
…
ポイントは②です。「どう読んで、何をすると決めたか」まで書き溜めると、AIが翌月、その判断の続きから話を始めてくれます。
つまずきやすいポイントと対処
データの渡し方
何ヶ月分も別々のファイルに分かれていても、そのまま渡して大丈夫です。整形からAIに任せます。
個人情報の扱い
顧客の個人名は渡す前に削るか、「顧客A」のような記号に置き換えます。分析の質は落ちません。
取引先のデータは先方の承認を得てから。
合計や前年比の計算を取り違えることがあります。基準になる数字は、レジや会計ソフト側の集計と突き合わせてください。
「雨が多かったから落ちた」のような説明を作ることがありますが、本当の原因かは分かりません。原因の解釈は現場を知っている人が確かめてください。
月1回の「定点観測」に育てる
売上分析は、毎月同じ見方で続けたときに初めて「変化」が見えます。分析の型はAIがファイルとして覚えられるので、2回目からは毎回同じ形で返ってきます。続け方は毎月の経営状態をAIで分析する方法へ。
まとめ
- 基本は合計を「分けて」見ること。軸は商品別・顧客別・時期別の3つ
- AIは集計と案出しの担当。打ち手を選ぶのは人
- 入り口は2つ。CSVを渡す基本形と、会計ソフトにつないで自動で回す形。つなげば毎月「一言」で数字が出る
- 数字と一緒に「所見」を書き溜めると、AIが翌月その続きから話を始める
- 個人を特定できる情報は渡す前に削る。要の数字は元の集計と突き合わせる
よくある質問
Q.売上分析はAIでできますか?
できます。データの入り口は2つあり、売上データをCSVや表の形で人が渡すやり方と、会計ソフト(freeeなど)の公式MCPや決済サービスのAPIとつないで、AIに自分で取りに行かせるやり方があります(AIが許可なく見に行くことはありません)。どちらでも、AIが月別推移や商品別の傾向を出して打ち手の案まで整理し、最後にどの手を打つかは人が判断します。私たちTechtはfreeeとつないだ形で自社の傾向出しを行っていますが、この「傾向→案→人が判断」の分担を守るのが、失敗しないコツです。
Q.ChatGPTなどのチャット型AIとClaude Codeの売上分析は何が違いますか?
大きな違いは、Claude CodeがCSVなどのファイルをそのまま読み、集計の手順を再利用できる点です。チャット型AIに売上表を貼り付ける方法は、行数が多いと貼り切れず、毎回同じ指示をやり直すことになります。Claude Codeなら「毎月このCSVを渡したら、月別推移と商品別構成を出す」という型を一度作れば、翌月からはデータを渡すだけで同じ分析が返ってきます。毎月続ける前提なら、この差は大きいです。
学習コース:数字を読んで経営判断したい
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