補助金活用を検討するときに、こう不安になる経営者は多いと思います。

「補助金コンサルって、結局、行政書士法違反じゃないの?」 「『成功報酬で申請代行します』って業者から営業が来たけど、これって違法では?」 「コンサルに頼んだ後で違法と言われたら、補助金の取消とか不利益はある?」

結論から言うと、補助金コンサルが「違法か合法か」は、業者によって明確に分かれます。すべてのコンサルが違法でもなければ、すべてが合法でもありません。境界は法律で線引きされていて、その線を踏み越えているかどうかで判断できます。

この記事では、私が厚生労働省で助成金審査官として制度運用に携わってきた経験をベースに、行政書士法違反になる 4 要件と、適法 / 違法業者の見分け方を整理します。

この記事で分かること

  • 行政書士法違反になる 4 つの要件
  • 適法な補助金コンサルと違法業者の境界線
  • 悪質コンサルを見分ける 5 つの兆候
  • 合法な依頼先を選ぶときのチェックリスト
  • 万が一違法業者に依頼してしまった場合の対処

行政書士法違反になる 4 要件

まず根拠法を確認します。行政書士法 第 19 条はこう書いています。

行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。― 行政書士法 第 19 条第 1 項

この条文を分解すると、4 つの要件すべてに該当した場合に違法となります。逆に言えば、1 つでも欠ければ違法ではありません。

要件 1: 行政書士でない者が行う

当然ですが、行政書士登録をしていない者が対象です。経営コンサル、中小企業診断士、社労士(社労士の独占業務以外)、無資格者などが該当します。

要件 2: 業として行う

「業として」とは、「反復継続的に、社会通念上、業務として行う」ことです。一回限りの好意的な手伝いは含まれません。事業として補助金支援を提供している場合は、ほぼ確実にこの要件を満たします。

要件 3: 報酬を得て行う

対価として報酬(金銭・物・サービス)を受け取る場合です。無償ボランティアは違法になりません。着手金、成功報酬、月額顧問料などの形態を問わず、報酬を得ていれば該当します

要件 4: 官公署に提出する書類を作成する

ここが最も解釈の分かれるポイントです。「官公署に提出する書類」とは、補助金申請書、事業計画書(申請添付書類として提出されるもの)、各種証明書類などが該当します。

ただし、「最終的な提出書類」と「事業者が自分で書くための事業計画書のドラフト」では扱いが違います。コンサルが「事業計画のドラフトを一緒に作る」ことは、形式的には「書類作成」ですが、実態としては経営アドバイスです。最終的に事業者自身が確認・修正・署名して提出する場合、コンサルは「補助者・助言者」の立場であり、「業として書類を作成した」とは判定されにくいのが実務です。

適法 vs 違法の境界線

4 要件を踏まえると、適法 / 違法の境界はこう整理できます。

業務内容行政書士法
事業計画のヒアリング・戦略立案○ 適法(経営助言の領域)
事業計画書のドラフト作成・添削○ 適法(事業者が最終確認・署名する前提)
数値根拠・市場分析・財務シミュレーションの作成○ 適法(経営コンサルティング)
過去の採択事例を踏まえたアドバイス○ 適法(情報提供)
申請書類を完成させて事業者の名義で提出代行× 違法(行政書士法違反)
事業者がほぼ関与しない形で書類を仕上げて提出× 違法(実態として代行)

重要なのは、「事業者が主体的に意思決定し、書類を確認・署名する」プロセスがあるかどうかです。コンサルが裏で全部書いて、事業者は名前を書くだけ、というのは形式的には適法に見えても、実態は代行と判定されるリスクがあります。

悪質コンサルを見分ける 5 つの兆候

実際に違法またはグレーな業者を見分けるためのシグナルを、私が審査側で見てきた事例から整理します。

兆候 1: 「絶対採択」「100% 通します」を謳う

補助金は審査制で、不採択リスクが必ずあります。「絶対」「100%」「確実」を断言する業者は、誇大広告か、申請内容の改竄を前提にしている可能性があります。誠実な業者は採択保証をしません

兆候 2: ヒアリングが極端に短い・形式的

「30 分のヒアリングで申請書を仕上げます」のような業者は、事業者の実態を踏まえずテンプレ的に申請書を作成している可能性が高いです。実態と乖離した事業計画は、採択されても実績報告で問題が出ます。

兆候 3: 過度に高額な成功報酬を要求する

補助金支援の成功報酬は、業界相場で 10〜15%(上限 200〜300 万円程度)が目安です。30% 以上を要求する業者や、上限なしの業者は、相対的に高リスクと考えてよいでしょう。

兆候 4: 事業者にほとんど作業をさせない

「全部こちらでやります、事業者は何もしなくていい」という勧誘は、実態として代行業務(違法)に近いケースが多いです。事業計画は事業者自身の意思の表明なので、事業者が深く関与しない申請は、採択されても実績報告で破綻しやすいです。

兆候 5: 着手金が高額すぎる・返金条件が不透明

着手金が 50 万円以上で、不採択時の返金条件が曖昧な業者は注意が必要です。誠実な業者は、着手金の対価(具体的にどの作業をするか)を明示します。

合法な依頼先を選ぶチェックリスト

ここまでを踏まえて、依頼前に確認すべきポイントを整理します。

合法・適切な業者を選ぶための 7 つの確認事項

  • 担当業務が明確に定義されているか(戦略設計・書類ドラフト作成・最終提出はどこまでか)
  • 事業者が主体的に関与するプロセスが組まれているか(深いヒアリング・確認・修正の機会)
  • 採択を保証していない(断言せず、確度を上げる方法論を語る)
  • 料金体系が明確(着手金・成功報酬・上限・返金条件が書面で示される)
  • 行政書士の独占業務に立ち入る場合は行政書士登録があるか、提携している行政書士がいるか
  • 採択後の実績報告まで含めた支援メニューがあるか(採択 = ゴールではない)
  • 担当者と直接コミュニケーションできるか(営業窓口だけで実務担当が別だと意思疎通に齟齬が出やすい)

万が一違法業者に依頼してしまった場合

既に違法またはグレーな業者と契約してしまった場合の対処を整理します。

採択前の場合

まず契約書を見直し、解約条件を確認してください。多くの場合、着手金は返金されませんが、成功報酬は採択時のみ発生する設計のため、解約自体は可能です。「申請内容に虚偽がある」「事業計画と実態がかけ離れている」場合は、申請を取り下げる判断が必要です。虚偽申請のまま採択されると、後で取消・返還になるだけでなく、補助金等適正化法違反として行政処分や刑事罰の対象になります。

採択後の場合

採択された後でも、実績報告の段階で実態とのズレが発覚すると、減額・取消の対象になります。違法業者が作成した事業計画と実態が乖離している場合、速やかに別の信頼できる専門家に相談し、計画を実態に合わせて修正する手続きを検討してください。

違法行為の通報

悪質な行政書士法違反業者は、各都道府県の行政書士会または地方法務局に通報できます。被害が広がる前に、適切な機関に情報提供することも検討してください。

まとめ: 「業務内容」と「事業者の関与度」で判断する

補助金コンサルが違法か合法かは、「何の作業をするか」と「事業者がどれだけ主体的に関与するか」の 2 軸で判断できます。

  • 戦略設計・事業計画のドラフト作成・数値根拠の作成は、経営コンサルの領域で合法
  • 申請書類の最終作成・提出代行は行政書士の独占業務
  • 事業者がほぼ関与しない形で書類が仕上がる場合は、形式問わず違法リスク
  • 「絶対採択」を謳う業者・ヒアリングが浅い業者・成功報酬が異常に高い業者は避ける

Techt は、事業計画のドラフト・申請ストーリー設計までを担当し、最終的な書類確認・提出は事業主または提携する行政書士・社労士が行う形で、行政書士法違反のリスクを完全に排除した立ち位置を取っています。元厚労省 助成金審査官として「審査側」を見てきた経験を活かし、適法かつ採択確度の高い申請をサポートします。

補助金活用支援サービスの詳細は 補助金活用支援ページ をご覧ください。専門家の選び方をもう少し広く整理した 補助金は行政書士?コンサル?選び方ガイド も合わせてどうぞ。

※本記事は 2026 年 5 月時点の法令・実務に基づく一般的な解説です。個別ケースの法的判断については、行政書士・弁護士など適切な専門家にご相談ください。違法業者から被害を受けた場合は、各都道府県の行政書士会・地方法務局・弁護士会へご相談ください。