結論から言うと、優先順位のつけ方の基本は「効果(インパクト)の大きさ」と「手軽さ」の2軸でやることを並べ、効果が大きくて手軽なものから手をつける。これだけです。私たち Techt も、何をやるか・何をAIに任せるかの着手順は、いつもこの2軸で決めています。

この記事は、エンジニアではない経営者・個人事業主の方に向けたものです。やることが多すぎて「何からやるか」で毎朝迷う。その悩みは、意志力ではなく順番を決める型で解決できます。

そしてこの型は、そのままAIへの仕事の頼み方にも使えます。AIは、使う人を超えません。何が効くかを判断できる人だけが、AIにも良い仕事をさせられます(2026年7月時点で、私たちが実務を通じて実感していることです)。

なぜ「何からやるか」で成果が変わるのか

経営者や個人事業主の1日は、やるべきことで埋まっています。営業、請求書、SNS、ホームページの直し、溜まった経理。全部大事に見えます。

しかし時間は限られているので、全部やろうとすると、全部が中途半端に遅れます。成果を出している人とそうでない人の差は、働く時間の長さよりも「同じ持ち時間を、どの順番で使ったか」にあることが多いのです。

やっかいなのは、人は放っておくと「目についたもの」と「手軽なもの」から手をつけてしまうことです。メールの返信や書類の整理は着手しやすいので先に片付き、売上に直結する大きな仕事ほど後回しになる。これは怠けではなく自然な習性なので、気合いで直すのではなく、順番を決める型を持つことで対処します。

優先順位の決め方:「効果×手軽さ」の2軸で並べる

型はシンプルです。大手コンサルティング会社でも施策の絞り込みによく使われる、ごく一般的な整理のやり方で、次の4ステップで進めます。

1.やることを全部書き出す

頭の中で考えず、まず紙やメモに出し切る。書き出す前に並べようとすると直近の締切に引きずられる。

2.「効果」の点数をつける

やったら売上・時間短縮・お客様の満足にどれくらい効くか。大・中・小のざっくり3段階で十分。

3.「手軽さ」の点数をつける

今の自分が、どれくらいの時間と労力で終えられるか。これも3段階で構わない。

4.2軸のマトリクスに置く

効果が大きくて手軽なものが最優先。効果が小さくて手間のかかるものは「やらない」と決める。

効果と手軽さの2軸マトリクス。効果が大きく手軽な右上は「すぐやる」、効果が大きいが手間のかかる左上は「計画してやる」、効果が小さく手軽な右下は「あとで」、効果も小さく手間もかかる左下は「やらない」

4つの象限の意味を整理すると、次のようになります。

効果 大 × 手軽

すぐやる

最優先。今日・今週の時間はまずここに使う

効果 大 × 手間がかかる

計画してやる

思いつきで着手しない。小さく分解して予定に組み込む

効果 小 × 手軽

あとで

すきま時間に。先にやると「仕事した気」になるので注意

効果 小 × 手間がかかる

やらない

勇気を持って捨てる。ここを削った時間が上位2つに回る

なお、タスク整理の型としては「緊急度×重要度」のマトリクスも有名です。あちらは締切のある日常業務のさばき方に向いていて、「効果×手軽さ」は、締切のない改善やAI活用のように「やってもやらなくてもいいことが多い場面」に向いています。場面で使い分ければ十分で、どちらが正解ということはありません。

身近な例:小さな会社の「やりたいこと」を並べてみる

たとえば、ある個人事業主の頭の中に、こんな「やりたいこと」が溜まっているとします。2軸に置くと、景色が変わります。

HPの料金表が古いまま

すぐやる

古い価格でお客様とトラブルになるリスクを、数時間の作業で消せる

会計ソフトの入力が3ヶ月分溜まっている

計画してやる

放置すると資金繰りが見えなくなる。半日を予定に確保する

毎日インスタ投稿したい

あとで/やらない

集客が実際にそこから来ているのでなければ、週1に減らすか、やらない

新サービスの企画をゼロから練りたい

最初の一歩だけ計画

効果は大きいが最も重い。「既存客3人に困りごとを聞く」の一歩だけ予定に入れる

ポイントは、並べた結果「頑張って全部やる」が「これとこれはやる、これはやらない」に変わることです。順位づけの本当の成果物は、1位が決まることではなく、下位を捨てられることです。全部を守ろうとする限り、時間の奪い合いは終わりません。

この考え方をAIに活かす:頼む順番も「効くものから」

ここからがこの記事の本題です。Claude CodeのようなAIを使い始めた方がよく陥るのが、「AIは何でもできるらしいから」と、手当たり次第に仕事を投げてしまうことです。

実は、AIに任せる仕事を選ぶときも、人の仕事とまったく同じ2軸が使えます。私たち Techt も、AIに全部やらせようとはしていません。「効果が大きく、AIに頼めば手軽になるもの」から順に任せています

たとえば溜まった経理処理は、量が多い(効果 大)うえにAIが得意な定型作業(手軽)なので真っ先に任せる。一方で、お客様への謝罪や値上げの相談のような仕事は、効率化の効果よりも関係を壊すリスクが大きいので任せない、という判断です。

具体的には、AIにはこう頼みます。

1

やることを全部書き出して、そのままAIに渡す

「今抱えている仕事を書き出しました。効果(売上・時間短縮への影響)と手軽さの2軸で並べて、理由も添えてください」と頼むと、たたき台の順位表が数分で返ってくる。

2

並び順は「提案」として受け取り、自分の事情で直す

AIはあなたの資金繰りも、お客様との約束も知らない。「これはなぜ2位?」と聞き返し、納得できなければ動かす。

理由を言わせることで、自分の判断軸も言葉になっていく。

3

上位の1つだけを、まずAIに任せてみる

順位が決まったら、1位の仕事について「最初の一歩に分解して」と頼み、その一歩から着手する。全部を一度に任せないことで、AIの間違いにも早く気づける。

気づいた方もいると思いますが、これは「自分の優先順位づけ」をAIに手伝わせながら、「AIに任せる仕事の優先順位」も同時に決めているという構図です。効果の大小を判断する軸(何が売上に効き、何がお客様との信頼に関わるか)を言葉にして渡せるのは、その事業をやっているあなただけです。

だからこそ、この型を身につけた人のAIは良く働き、丸投げする人のAIは的外れに働きます。頼み方の基本はAIを使いこなす人の「指示の出し方」で、順位づけの前段の「考えの整理」はClaude Codeを壁打ち相手にする方法で詳しく書いています。

順位ごとAIに丸投げしない
AIは、あなたの事業の内情(資金繰り・顧客との約束・季節要因)を知らないまま、もっともらしい順位表を自信たっぷりに返します。なめらかな文章ほど正しく見えることは「事実と意見を分ける技術」で紹介したとおりです。
AIの並べ替えは「見落としの確認」と「たたき台」に使い、着手順の最終判断は必ず人がやってください。効果の大小を決める判断軸まで機械に預けてしまうと、間違った順番で全力疾走することになります。

まとめ

  • 優先順位のつけ方の基本は「効果(インパクト)×手軽さ」の2軸。全部書き出す→3段階で点数→マトリクスに置く→着手順を決める
  • 効果が大きく手軽なものからすぐやる。効果が大きく重いものは「最初の一歩」に割って計画に入れる
  • 順位づけの本体は「やらないこと」を決めること。下位を捨てた時間が上位に回る
  • AIに任せる仕事も同じ2軸で選ぶ。全部丸投げせず、効くものから順に頼む
  • 並べ替えの作業はAIに手伝わせてよいが、効果の大小を決める判断軸を渡すのは人。AIは使う人を超えない

よくある質問

Q.優先順位はどうやって決めればいいですか?

「効果(インパクト)の大きさ」と「手軽さ」の2軸で並べるのが基本です。やることを全部書き出し、効果が大きくて手軽なものから着手します。緊急度×重要度で整理する方法も有名ですが、小さな会社の改善やAI活用のように「やってもやらなくてもいいこと」が多い場面では、どれが売上や時間短縮に効くかを軸にしたほうが判断しやすいです。私たちTechtも、新しい施策やAIに任せる仕事はこの2軸で並べてから着手順を決めています。

Q.「緊急度×重要度」のマトリクスとは何が違いますか?

緊急度×重要度は「締切に追われて重要な仕事が後回しになる」のを防ぐための整理で、効果×手軽さは「限られた時間でどれから成果を出すか」を決めるための整理です。どちらも昔からある一般的な考え方で、優劣はありません。日々のタスク管理には前者、改善施策やAI活用のように締切のない仕事が並ぶ場面には後者が向いている、というのが私たちの実務での使い分けの目安です。

優先順位づけは、特別な才能ではなく型です。まずは今日、頭の中の「やらなきゃ」を全部書き出して、効果と手軽さの2軸に置いてみてください。
上位3つが決まれば、明日の朝から迷わず動けます。
自分の事業の課題への当てはめで行き詰まったら、無料相談でお気軽にどうぞ。

学習コース:考える力を身につけて、AIをもっと活かしたい

この順で読むとスムーズです(全6ステップ)。

  1. 良い問いの立て方
  2. 論点分解
  3. 仮説思考
  4. 事実と意見を分ける
  5. 5優先順位のつけ方いま読んでいる記事
  6. 6構造化して伝える

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構造化して伝える

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