ひとことで言うと
通る提案書 =
中身の見た目より、
「書く順番」で決まる
「提案書」「企画書」「プレゼン資料」。呼び方は違っても、通る書類の芯は同じです。「通る型」を1つ覚えて、相手ごとに中身を入れ替えるのが、毎回ゼロから悩まないコツです。
型を覚えたら、下書きはClaude Codeに出させます。当社はお客様への提案書づくりが日常業務で、スライド化までAIに任せています。その手順までお見せします(2026年7月時点)。
違いと共通する芯
似た言葉が並ぶと、どれを作ればいいのか迷います。まずはざっくり整理しておきます。
提案書
お客様や取引先など社外の相手に、「この課題をこう解決しませんか」と示して決めてもらう書類。
企画書
主に社内で、新しい取り組みや予算を通すための書類。
プレゼン資料
口頭で説明しながら見せるスライド。提案書や企画書を「見せる形」にしたもの。
芯は共通です。自分の言いたいことからではなく、相手が困っていることの整理から始める。ここで通るかが分かれます。以降は提案書を例にしますが、企画書にもプレゼン資料にもそのまま使えます。
通る構成の型
私たちが実務で使っている構成は、次の5つの並びです。この順番で並べるだけで、話がまっすぐ進みます。

| 並び | 何を書くか | 狙い |
|---|---|---|
| ① 相手の課題 | 相手が困っていること・実現したいことを、相手の言葉で整理する | 「分かってくれている」と感じてもらい、続きを読む姿勢を作る |
| ② 解決策 | 課題の原因に合わせた打ち手と、そのなかの推し | 課題にうなずいた相手に、比較したうえで答えを薦める |
| ③ 根拠 | なぜそれで解決できるのか(数字・事例・実績) | 「本当にできるの?」という不安を消す |
| ④ 費用と進め方 | いくらで、どういう段取りで進めるか | お金と手順の不安をなくし、現実の話にする |
| ⑤ 次の一歩 | 相手にやってほしいことを1つだけ示す | 「で、どうすれば?」で迷わせない |
やりがちなのが、①を飛ばして②の解決策(=自分の商品説明)から始めてしまうことです。相手が「そうそう、それで困っている」とうなずく前に解決策を出しても、話は入っていきません。
中身を埋める手順
最初から清書しようとせず、各パートに一言ずつメモを置いていくのがコツです。
1. 課題を相手の言葉で書き、原因を分解する
打ち合わせで相手が言っていたことを、できるだけ相手が使った言葉のまま書き出します。「売上を上げたい」ではなく「新規のお客さんが月に数件しか来ない」。ここが自分の想像だと、その先がどれだけ立派でも「分かっていないな」で終わります。
書き出したら、そのまま解決策に飛ばずに、「なぜそうなっているのか」を分解します。新規が来ないのは、そもそも知られていないからか。知られているのに比べられて選ばれないからか。一度来た人が戻ってこないからか。原因が違えば打ち手も違います。この分解が、次の解決策の質を決めます。分解の考え方そのものは論点分解で解説しています。
2. 打ち手を比較して、推しを示す
分解した原因に対して、打ち手を複数用意し、効果・費用・期間のような軸で並べて比較します。1案だけ出すと、相手からは「売りたいものを売りに来た」ように見えます。比較の表があると、「選んだうえで薦めている」ことが伝わります。
そのうえで、「おすすめはこれです」と推しを1つはっきりさせます。決めるのは相手ですが、判断材料と推薦はこちらが用意する。これが提案です。
3. 根拠は、数字の出どころまで確かめる
「なぜそれで解決できるのか」を数字で裏づけます。自分の実感だけで書かず、DeepResearch(ChatGPTなどに付いている調査機能)のような調査AIにデータを集めさせ、その出典が信用に足る組織(官公庁の統計・業界団体・大手調査会社など)かまで確かめるのが基本です。信頼できる出どころの数字が付けられない主張は、提案には載せません。自社の実績を載せるなら、盛らないこと。盛った数字は後で必ず食い違いを生みます。
自分でアンケートを取って添えるなら、聞く相手の偏りに注意します。牛丼屋の行列で「いま何を食べたいですか」と聞けば全員が牛丼と答えますが、「世の中はみんな牛丼を食べたい」という意味にはなりません。賛成しそうな人にだけ聞いた数字は、根拠として通用しません。
4. 費用と進め方をセットで示す
金額だけをぽつんと出すと高く感じられます。「いくら」と「どう進めるか(段取り)」をセットで示すと、相手は自分ごととして検討できます。分割や小さく始める選択肢があれば、それも書いておきます。
5. 次の一歩を1つだけ書く
最後に、相手にやってほしいことを1つだけ書きます。「ご検討ください」で終わらせず、「まずは30分お打ち合わせしましょう」のように具体的な次の行動を1つ示すと、話が前に進みます。
テンプレートの注意点
検索すると、きれいなひな形がたくさん見つかります。並べ方の参考には便利ですが、使い方に注意が要ります。
下書きを出す5ステップ
ここからは、当社が実際にやっている手順です。コツは頼み方のうまさではなく頼む前の下ごしらえ。構成の型と書き方のルールをファイルで覚えさせておくと、案件の条件を渡すだけで下書きが出てきます。
構成の型と書き方ルールを、ファイルにして置いておく
「課題→解決策→根拠→費用→次の一歩」の型と、自社のいつもの言い回しをメモにして、Claude Codeが読めるフォルダに置きます。1回作れば、次の案件からずっと使い回せます。
案件の情報を、箇条書きで渡す
相手・相手の課題(商談で聞いた言葉)・原因の見立て・提案する内容(比較して選んだ推し)・概算の金額の5点です。きれいな文章にする必要はありません。
「この型に沿って下書きを作って」と頼む
型のファイルを指して、そう頼むだけです。章立てと、各章に入れる要点まで入った骨子が出てきます。
出てきた骨子を、人が直す
特に見るのは「①相手の課題」と「④金額」です。課題が商談で聞いた言葉のままか、金額が渡した数字のままかを確かめます。
仕上げの体裁づくりに進む
骨子が固まってから、見た目を整えます。公式の資料作成スキルを使えば、パワーポイントやWordのファイルまでAIが作ります。当社はスライド化までClaude Codeに任せています。
スライドやWordのファイルにするときは、Anthropic公式の資料作成スキル(PowerPoint・Word・Excel・PDFを作るための追加部品)を使うのが近道です。頼み方は「公式のPowerPointスキルを入れて、この下書きをスライドにして」。スキルを入れるところからAIがやってくれます。
図解を入れてリッチにしたいなら、Codexは図の画像そのものも作れます。当社は見た目を細かく揃えたいのでPptxGenJS(スライドをプログラムで生成する部品)で組んでいます。どちらでも、骨子さえ人が固めれば体裁は丸ごとAIに任せられます。
直しを覚えさせて、一発で出す
出てきた資料に微妙なところがあったら、指摘して直させ、その直しをルールとして覚えさせます。「言い回しが硬い」と直させたら、最後に「今の直しを提案書の型に追記して」と頼む。これだけです。数件回すと最初の一発が自分の思う形に近づき、思っている提案資料がほぼ一発で出てくるようになります。当社の提案書づくりが速いのは、この積み重ねです。
コピペで使えるプロンプト
ステップ2と3をまとめると、頼み方はこうなります。たとえば、次のような文面です(社名・課題・金額はすべて架空の例です)。
プロンプト例(自分の案件に書き換えて使ってください)
以下の案件で、「提案書の型.md」の構成(課題→解決策→根拠→費用→次の一歩)に沿って、提案書の下書きを作ってください。章立てと、各章に入れる要点まで書いてください。 ・相手:製造業の◯◯社(従業員30名) ・相手の課題:お客様からの問い合わせ対応に、事務担当の時間が月40時間ほど取られている(商談で相手が言った言葉です。このまま使ってください) ・原因の見立て:よくある質問への回答が人によってばらばらで、毎回ゼロから書いているため ・提案する内容:問い合わせの一次対応を自動化する仕組みの導入と、月次の運用サポート(FAQ整備だけの案・外注する案と比較して選んだ推しです) ・概算:初期◯◯万円+月◯万円(この金額と納期は変えないでください) ・次の一歩:まずは30分のお打ち合わせを提案する 守ってほしいこと: ・実績や数字は、こちらが渡したもの以外を作らないでください ・分からないところは、推測で埋めずに私に質問してください
ポイントは、課題を商談で聞いた言葉のまま書くことと、金額を人が決めて「変えないで」と指定することです。この2つを渡せば、AIは構成と文章づくりに専念できます。
型のファイルを作って覚えさせる要領は、業務委託契約書の作り方と同じです。
AIに任せないと決めること
下書きが速く出るようになるほど、線引きが大事になります。当社が「ここはAIにやらせない」と決めているのは、次の3つです。
金額と納期は、AIに決めさせない
見積もりの根拠(原価や作業時間)は、人が持つものです。金額と納期は人が決めた数字を渡し、頼むときも「変えないで」と指定します。
相手の課題認識は、AIの推測で埋めない
①相手の課題には、商談やヒアリングで相手が実際に口にした言葉を使います。ここをAIに書かせると一般論になり、「分かってくれている」という提案書の生命線が消えます。
AIが盛った実績・数字を鵜呑みにしない
AIは、それらしい実績や数字を事実であるかのように書いてしまうことがあります。載せる数字・事例は、出どころを確かめられる事実だけにしてください。
金額の決め方(見積もりの根拠の持ち方)は見積書の書き方で解説しています。
まとめ
- 提案書・企画書・プレゼン資料の芯は同じ。「相手の課題 → 解決策 → 根拠 → 費用と進め方 → 次の一歩」の順に並べる
- いちばん大事なのは①相手の課題。相手の言葉で書き、原因まで分解してから打ち手を当てる。解決策からいきなり始めない
- 解決策は複数の打ち手を比較して推しを示す。根拠の数字は調査AIで集め、出典が信用できる組織かまで確かめる。偏った相手に聞いたアンケートは根拠にならない
- テンプレートは「並べる順番」の参考に。中身は目の前の相手に合わせて書き直す
- Claude Codeは下ごしらえが要。構成の型と書き方ルールをファイルで覚えさせ、案件情報(相手・課題と原因の見立て・提案・金額)を箇条書きで渡すと下書きが出る
- スライド化は公式の資料作成スキルに頼め、図解の画像はCodexで作れる。出てきた資料への直しは型に追記して覚えさせると、思っている資料が一発で出るようになる
- 金額と納期はAIに決めさせない。相手の課題認識は商談で聞いた言葉を使い、載せる数字・実績の事実確認は必ず人が持つ
よくある質問
Q.提案書と企画書、プレゼン資料は何が違いますか?
大きな違いは「相手」と「目的」です。提案書は、相手(お客様や取引先)の課題を解決するために「こうしませんか」と相手に決めてもらうための書類です。企画書は社内で新しい取り組みを通すための書類、プレゼン資料は口頭説明に合わせて見せるスライド、という位置づけが一般的です。ただし作り方の芯は同じで、いずれも「相手の課題から始めて、解決策と根拠を示す」流れにすると通りやすくなります。呼び方に迷うより、誰が読んで何を決めるのかを先に決めるのが近道です。
Q.提案書はどんな構成にすればいいですか?
「相手の課題 → 解決策 → 根拠(数字・事例)→ 費用と進め方 → 次の一歩」の順が、私たちが実務で使っている通りやすい型です。最初に自分の商品説明から入るのではなく、相手が困っていることの整理から始めるのが肝です。課題に相手が「そうそう」とうなずいてから解決策を出すと、話がまっすぐ進みます。課題は原因まで分解し、解決策は打ち手を比較したうえで推しを示し、根拠には出どころを確かめた数字を添え、最後は「では次に何をするか」を1つだけ示して迷わせないようにします。
相手の課題から書き始め、解決策・根拠・費用・次の一歩の順に並べる。これだけです。
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