結論から言うと、競合調査をAIでまとめるコツは「比較する観点を先に人が決めて、情報の整理と表づくりをAIに任せ、事実は必ず人が公式サイトで裏取りする」という役割分担です。AIに「競合を調べて」と丸投げしても、古い情報やもっともらしい誤りが混ざった一覧が返ってくるだけで、そのままでは判断に使えません。私たち Techt は、自社サービスの競合比較でも観点の候補出しと表への整理を Claude Code(クロードコード)に任せ、各社の事実確認は人がやるという進め方をしている会社です。その実務で分かった観点の作り方と落とし穴を、この記事にまとめました。
この記事は、エンジニアではない経営者・個人事業主の方に向けて、競合調査のやり方を「AIに任せるところ」と「人がやるところ」に分けて、手順に沿って整理したものです。専門用語は出てきた場所で説明するので、順番に読めば自分の事業の競合比較表を1枚作れます。内容は2026年7月時点のものです。
この記事で分かること
- 競合調査でAIに任せてよい作業と、人が必ずやる作業の線引き
- 比較の「観点」の作り方(価格・強み・客層・チャネルの4つから始める理由)
- Claude Codeで競合の比較表を作る5ステップ(Techtの実例)
- AIが出す競合情報の落とし穴と、裏取りのやり方
- つまずきやすいポイント3つと回避のコツ
競合調査のやり方はAIでどう変わるか——任せられること・任せられないこと
まず前提を1つ。AIはテキストを扱う道具であって、あなたの代わりに世の中を見張って、常に正確な最新情報を持ってきてくれるわけではありません。AIが学習した時点の情報は古くなっていますし、事実と違う内容をもっともらしく答えてしまうこと(ハルシネーションといいます)もあります。だから競合調査では、「情報を確定させる仕事」は人に残り、「情報を整理して形にする仕事」がAIに移ります。線引きは次の表のとおりです。
| 作業 | 誰がやるか | 理由 |
|---|---|---|
| 比較する観点の候補出し | AI(人が絞り込む) | 候補を広げるのはAIが得意。最終的に選ぶのは人 |
| 競合の情報集め | 人が中心 | 公式サイト・料金ページなどの一次情報を人が確認して渡す |
| 集めた情報の整理・比較表の下書き | AI | 観点ごとに並べ直す・表にする作業はAIが速い |
| 事実の裏取り | 必ず人 | AIの出力には古い情報・誤りが混ざる。公式サイトで確認する |
| 「だからどうする」の判断 | 必ず人 | 価格や見せ方を変えるかは事業の意思決定。AIは材料係 |
つまりAIを使っても、競合調査が「全自動」になるわけではありません。それでも、観点出しと表への整理という時間のかかる部分が数分で終わるので、人は「情報を確かめる」「判断する」という本来の仕事に集中できます。ここが競合調査のやり方として一番変わる点です。
競合分析をAIで進める前に——「観点」の作り方
競合分析で最初につまずくのが「何を比べればいいのか分からない」です。観点が決まっていないまま情報を集めると、各社のホームページを眺めて時間だけが過ぎます。まずは「価格」「強み」「客層」「チャネル」の4つから始めてください。小さな会社の競合比較なら、この4つでたいてい判断材料がそろいます。
| 観点 | 見るもの | 答えたい問い |
|---|---|---|
| 価格 | 料金体系・価格帯・何が含まれるか | 自分は高いのか安いのか。何と比べられているか |
| 強み | 各社が一番大きく打ち出している売り文句 | 他社が言っていて自分が言えていないことは何か |
| 客層 | 事例・お客様の声に出てくる客の業種・規模 | 同じお客様を取り合っているのは実はどこか |
| チャネル | 売り方・届け方(HP・SNS・紹介・店舗・広告) | お客様はどの入口で競合と出会っているか |
観点づくりのコツは、「自分が知りたい問い」から逆算することです。たとえば「値上げしても選ばれるか」を知りたいなら、価格と強みを厚く見る。「SNSを始めるべきか」を知りたいなら、チャネルを厚く見る。Claude Codeに「うちは◯◯業で、△△を知りたい。競合を比較する観点の候補を10個出して」と頼むと候補は一気に広がるので、そこから3〜5個に人が絞り込みます。観点を増やしすぎると表を埋めること自体が目的になるので、絞るのは人の仕事です。

Claude Codeで競合の比較表を作る5ステップ
観点が決まったら、実際に比較表を作ります。Claude Codeは対話しながら文書やファイルを作れるAIの道具で、チャット型のAIとの大きな違いは、観点や比較表をファイルとして手元に保存し、あとから更新し続けられることです。競合調査は一度きりではなく定期的に見直すものなので、この性質が向いています。私たちTechtが自社でやっている流れは、次の5ステップです。
1. 自社の情報と「知りたい問い」を渡す
最初に、自分の事業の内容(何を・誰に・いくらで売っているか)と、この調査で答えを出したい問いをClaude Codeに伝えます。目的を先に渡すと、観点の候補も表の形もその目的に沿ったものになります。「競合を調べたい」だけで始めると、一般論の表が返ってきて使えません。
2. 観点の候補を出させて、3〜5個に絞る
「この事業の競合を比較する観点の候補を挙げてください」と頼み、出てきた候補から前の章の要領で3〜5個を選びます。迷ったら価格・強み・客層・チャネルの4つで始めて、あとから足りない観点を追加すれば十分です。
3. 競合数社の一次情報を集めて渡す
比較する競合は、まず3〜5社に絞ります。各社の公式サイト・料金ページ・事例ページを人が実際に開いて確認し、その内容をClaude Codeに渡します。AIに検索や下調べを手伝わせること自体は構いませんが、AIが挙げてきた情報はあくまで下書きです。表に載せる事実は、公式サイトで人が見たものを基準にしてください。
4. 観点×競合の比較表に整理させる
「渡した情報を、観点を行・会社を列にした比較表にまとめてください」と頼みます。ここはAIが一番得意な工程で、バラバラに集めたメモが数分で表になります。このとき「確認日」と「情報の出どころ」の欄も表に入れておくのがおすすめです。競合の料金やサービスは変わるので、いつ時点の情報かが分かる表にしておくと、次の見直しが楽になります。
5. 人が裏取りして「だからどうする」を1行書く
できあがった表の数字や売り文句を、もう一度公式サイトと突き合わせて確認します。裏取りできなかった欄は空欄のまま残してください。埋まっていることより正しいことが大事です。最後に、表を見て気づいたこと——「価格では勝負していない」「この客層は取り合いになっていない」など——を自分の言葉で1行書けば、比較表が「作って終わり」でなく判断の材料になります。
最大の落とし穴:AIが出す競合情報は、古い・不正確なことがあります。AIは学習時点の情報をもとに答えるため、競合の料金・プラン・サービス内容が今と違っていたり、存在しない実績をもっともらしく書いてしまったりすることがあります。各社の料金や事実は、必ず公式サイトなどの一次情報を人が開いて確認してから表に載せてください。もしAIの出力を裏取りせずに価格改定や打ち出しの変更を決めてしまうと、間違った前提で事業の判断をすることになります。整理はAI、事実の確定は人——この線だけは崩さないでください。
つまずきやすいポイント3つ
実際にやってみた人がつまずきやすいのは、次の3つです。
- 観点が多すぎて表が埋まらない:10個も観点を立てると、調べても埋まらない欄だらけになり、途中でやめてしまいます。3〜5個に絞り、埋まらない観点は思い切って削ってください。
- AIの答えをそのまま表に貼ってしまう:一見それらしい表ほど危険です。「確認日」欄を必ず作り、人が公式サイトを見た日付が入っていない行は未確認と分かるようにしておくと、貼りっぱなしを防げます。
- 比較表を作って満足してしまう:表は材料であって成果物ではありません。「だからうちは何を変えるか・変えないか」を1行書くところまでがワンセットです。判断につながらない調査は、時間をかけるほど損になります。
よくある質問
競合調査はAIでできますか?
AIに任せられるのは「観点の候補出し」「集めた情報の整理」「比較表の下書き」で、事実の確認は人の仕事です。AIはテキストを扱う道具なので、渡された情報を整理するのは得意ですが、各社の最新の正確な情報を常に持っているわけではありません。私たちTechtも、競合比較の観点出しと表への整理はClaude Codeに任せつつ、料金やサービス内容といった事実は必ず各社の公式サイトで確認してから使っています。この役割分担が崩れると、古い情報で判断してしまう危険があります。
競合調査の観点は何を選べばいいですか?
まずは「価格」「強み」「客層」「チャネル(売り方・届け方)」の4つから始めるのが実務的です。観点を増やしすぎると表を埋めること自体が目的になり、埋まらない欄だらけで判断に使えなくなります。自分が知りたい問い(例:自分は価格で選ばれているのか、それ以外か)から逆算して3〜5個に絞るのがコツです。AIに「この事業の競合を比較する観点の候補を出して」と頼めば候補は広げてくれるので、そこから人が絞り込む流れが速くて確実です。
AIが出した競合情報はそのまま使っていいですか?
そのまま使うのは避けてください。AIが出す競合の料金・サービス内容・実績は、学習時点の古い情報だったり、事実と異なる内容(もっともらしい誤り)だったりすることがあります。必ず各社の公式サイトや公式資料で人が裏取りし、確認した日付をメモに残すのが安全です。私たちTechtでは、AIの出力は「確認前の下書き」として扱い、比較表には確認日と情報の出どころを書く欄を作っています。裏取りできなかった項目は空欄のままにして、埋めたつもりにならないことも大事です。
競合調査は何社くらい比較すればいいですか?
小さな会社や個人事業主なら、まずは3〜5社に絞るのが現実的です。数十社を浅く並べるより、自分のお客様が実際に比較検討していそうな数社を深く見るほうが、価格や見せ方の判断に直結します。AIで整理が速くなっても、裏取りは1社ずつ人がやるので、社数が増えるほど確認の手間も増えます。Techtでも、自社サービスの競合比較はまず数社に絞って観点を揃え、必要になったら追加する進め方をしています。最初から網羅を目指さないことが続けるコツです。
ChatGPTのようなチャットAIとClaude Codeで、競合調査のやり方は違いますか?
大きな違いは、観点や比較表をファイルとして手元に残し、更新し続けられる点です。チャット型AIは会話が流れると前回の表を再現しにくいのに対し、Claude Codeは自社の情報・観点・比較表をファイルで保存し、次回は「この表に1社追加して」と頼むだけで続きから作業できます。競合調査は一度きりでなく定期的に見直すものなので、この差が効いてきます。私たちTechtも競合比較の表をファイルで持ち、変化があった箇所だけ更新する運用にしています。
まとめ
- 競合調査のAI活用は「観点は人が決める・整理と表づくりはAI・事実の裏取りは人」の役割分担が基本形
- 観点はまず価格・強み・客層・チャネルの4つ。知りたい問いから逆算して3〜5個に絞る
- 比較する競合も3〜5社から。網羅より、実際にお客様を取り合っている数社を深く見る
- AIが出す競合情報は古い・不正確なことがある。料金や事実は必ず公式サイトで人が確認し、確認日を表に残す
- 表を作って終わりにせず、「だからどうする」を1行書くところまでがワンセット
競合調査は、観点さえ決まれば大がかりな仕事ではありません。観点を4つ決めて、競合3社の公式サイトを見て、Claude Codeに表へまとめてもらう——まずはこの小さな1枚から始めてみてください。Techt は、自社の競合比較や市場調査を Claude Code で回している経験をもとに、経営者・個人事業主の方のAI活用の相談を受けています。進め方に迷ったら、無料相談でお気軽にどうぞ。あわせて市場調査をAIで進める手順や企画のたたき台をAIで作る方法も参考にしてください。




