結論から言うと、企画のたたき台はAIで作れます。コツは「何かいい企画ない?」と丸投げしないことです。市場と競合をAIに調べさせ、目的と制約を渡して方向性の違う案を出させ、人が選んで磨く。この順番に変えるだけで、白紙とにらめっこする時間がなくなります。
私たち Techt は、新しいサービスや提案のたたき台づくりを Claude Code(クロードコード)という作業するAIで回している会社です。0→1を速くするのはAI、磨いて決めるのは人。頼み方の実例とつまずきどころまでお伝えします。
AIと人の分担
最初に分担をはっきりさせておきます。材料さえあれば(仕事場に置いてあればAIが自分で読みます)、調べるところから文章化まではAIの仕事。決めるのは人です。
AIが得意なこと
市場と競合を調べる、調査を踏まえて方向性の違う案を出す、バラバラのメモを構成に整理する、文章として形にする。調べてから形にするまでの作業はAIの独壇場です。
人の仕事
「どの案でいくか」を決めること。そして案に使う数字の出どころ(出典が信用できる組織か)を確かめること。数字を集める作業自体は、調査AIに任せられます。
企画の前に市場を調べる
思いつきからそのままたたき台に入らないでください。先に市場と競合を調べてから企画する。この順番が、思いつき企画と通る企画の分かれ目です。調査は手を動かす部分ではなく、AIに任せる部分です。
市場調査は、DeepResearch(ChatGPTなどに付いている調査機能)に「◯◯市場の規模・主なプレイヤー・最近の動きを、出典付きで調べて」と頼めば下調べが出てきます。出典が信用できる組織かの確認だけ人がやります。進め方の詳細は市場調査・競合調査の記事で解説しています。
調査結果がそろったら、「競合がやっていなくて、うちならできることは何か」という差別化の軸をAIと一緒に考えます。そして、その軸に本当に需要があるかは、実際に検索して確かめます。見るのは3つです。
- 検索候補に出てくるか。軸に関わる言葉で検索し、候補(サジェスト)に関連の言い回しが出れば、実際に探している人がいます
- 上位10件の顔ぶれ。大手ばかりなら埋もれます。同規模の事業者が上位にいれば、入り込む余地があります
- 広告が出ているか。お金を払ってでもお客を取りたい事業者がいる、つまり商売になっている市場です
手動の落としどころとしては、この3つで「探している人がいて、同規模でも戦えている」と確認できれば、企画を進める判断材料には十分です。ただ、軸の候補がいくつもあると、手動では正直やりきれません。当社は検索データを機械でまとめて取り、数字で判定しています。需要の実測からやりたい場合は、検索される設計の形で市場調査からお手伝いできます。
たたき台を作る5ステップ
当社が自社の企画づくりで回している流れは、次の5ステップです。
1. 市場と競合を、AIに調べさせる
前のセクションのとおり、まずDeepResearchに市場を調べさせ、競合を整理します。人がやるのは、出典が信用できる組織かの確認だけです。
2. 差別化の軸を決める
調査結果をAIと一緒に眺めながら、「競合がやっていなくて、うちならできること」を絞り、検索結果で需要を確かめます。ここまでが企画の下ごしらえです。

3. 3点セットを渡して、3案出してもらう
下ごしらえができたら、AIに渡すのは次の3点です。白紙のまま「アイデアをください」と頼むと平均的な案しか返ってきませんが、この3点があると、案は「自分の会社の企画」になります。
① 目的
この企画で何を実現したいか
例:「常連さんの来店回数を増やしたい」「新規の問い合わせを増やしたい」
② 制約
予算・期間・人手など、動かせない条件
例:「予算は月3万円まで」「実働は自分1人」「来月中に始めたい」
③ 材料
事業の情報・手元にある事実
例:事業内容の説明、よくあるお客様の声、市場・競合の調査結果
きれいに整える必要はなく、箇条書きで十分です。大事なのは制約(②)を正直に渡すこと。「予算ほぼゼロ・人手は自分だけ」と伝えれば、AIはその条件で実行できる案だけを考えます。
頼み方の例:「飲食店をやっています。常連さんの来店回数を増やしたい。予算は月3万円、実働は自分1人。調査結果を踏まえて、方向性の違う案を3つください」。数の指定もコツで、1案だけ求めると無難な平均案が返ってきます。3案並べば比較ができ、自分の判断基準もはっきりします。たたき台の価値は正解を当てることではなく、議論と判断の出発点になることです。
4. 深掘りして、弱点も指摘させる
気になった案を「B案をもう少し具体的に。最初の1ヶ月に何をするかまで落として」と掘り下げます。「実は平日の昼が暇で……」と後出しの情報を足しても構いません。案が固まってきたら、「この案の弱点や、うまくいかないとしたら何が原因かを挙げて」と頼みます。自分が乗り気の案ほど欠点が見えなくなるものですが、AIは遠慮なく穴を挙げてくれます。1人で企画するときに欠けがちな「反対役」をここで補えます。
5. 人が選んで、事実を確認して磨く
最後は人の仕事です。どの案でいくかを決め、案の中に出てきた数字や前提(客数・相場・競合の動きなど)は出どころを確かめてから、実行に移すか、企画書に仕上げます。事実確認と決断を経てはじめて「自分の企画」になります。
この5ステップは、当社の新規事業「AI家庭教師」でもそのまま使いました。雑談で出た「自分もAIを使えるようになりたい」というニーズを起点に、AIと市場の痛みを調査し、商材名・対象・値付けまでをたたき台の往復で固めています。
机上の企画で終わらず、この事業はいま、実際のサービス紹介ページと教材になっています。
案の幅を広げる頼み方
AIはブレスト(案を広げる話し合い)の相手としても優秀です。1人経営では「壁打ち相手がいない」のが企画の最大の壁ですが、AIなら深夜でも何度でも付き合ってくれます。ただし、やみくもに数を出させたり、振り切った案を混ぜさせたりするのは悪手です。根拠のない案が増えるだけで、選ぶ手間が増えます。幅は、分析から広げます。
分析に基づいて、視点を切り替える
調査結果を踏まえたうえで、「常連のお客様の目線では?」「競合ならこの市場をどう攻める?」と、同じ材料を別の立場から読み直させます。思いつきの言い換えではなく分析の読み直しなので、案の質が落ちません。
分析している前提を疑わせる
「そもそもこの目的設定は正しいですか?」「この市場の捉え方で合っていますか?」と聞くと、企画の手前にある課題設定のずれに気づけます。前提がずれたまま案を磨いても、通る企画にはなりません。
こうした発散のさせ方は、経営判断の相談相手としてAIを使う「壁打ち」の使い方と地続きです。くわしくは経営の壁打ち相手にAIを使う方法で整理しています。
企画書に仕上げるとき
たたき台が固まったら、社内やお客様・金融機関に見せる書類へ仕上げます。通る構成の型(課題→解決策→根拠→費用→次の一歩)と、スライド化までAIに任せる手順は提案書の作り方で解説しています。企画書もこの型のままで通ります。ここでは、仕上げ段階の落とし穴を2つだけ。
丸投げで出てきた1案は平均的な案であることが多く、比較せずに採用すると「どこかで見た企画」になります。必ず複数案を出させ、人が選んでください。
まとめ
- 企画の前に市場と競合を調べる。市場調査はDeepResearchに任せ、差別化の軸はAIと考え、需要は検索結果(候補・上位の顔ぶれ・広告)で確かめる
- 企画のたたき台はAIで作れる。ただし丸投げは平均的な案しか生まない。目的・制約・材料の3点セットを渡す
- 案は「方向性の違う3案」で出させ、人が比較して選ぶ。たたき台の価値は議論の出発点になること
- 深掘り→弱点指摘→人が磨く、の順で会話を重ねると、案が自分の会社の企画に育っていく
- Claude Codeなら事業内容や調査結果・過去の企画メモをファイルで覚えさせられ、2回目以降は頼むだけでたたき台が出る
- AIの下書きに出てくる数字・根拠は未確認情報。企画書に載せる前に、出典が信用できる組織かまで人が確かめる
よくある質問
Q.AIで企画のたたき台は作れますか?
作れます。市場・競合の調査からAIに任せ、目的と制約を渡せば、たたき台を複数案、短時間で用意できます。調査・案出し・文章化はAIの仕事ですが、「どの案でいくか」の決断と、数字の出どころ(出典が信用できる組織か)の確認は人の仕事です。私たちTechtも、新しいサービスや提案の企画は調査からClaude Codeに任せ、人が選んで磨く流れで作っています。
Q.企画づくりで、Claude Codeとチャット型のAIは何が違いますか?
一番の違いは、自社の前提情報をファイルとして覚えさせておける点です。チャット型のAIでは毎回、事業内容や過去の経緯を説明し直すことになりがちですが、Claude Codeは会社の概要・商品・過去の企画メモを手元のファイルとして参照しながら案を出せます。2回目以降は「この前提で新しい企画のたたき台を」と頼むだけで済み、前提を踏まえた分だけ案の的も絞れます。私たちTechtもこの形で企画づくりを回しています。
市場を調べさせ、目的と制約を渡して案を出させ、選んで磨く。調査から始めても、AIに任せればその日のうちにたたき台まで到達できます。
学習コース:調べ物・リサーチ・企画を任せたい
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