結論から言うと、企画のたたき台はAIで作れます。コツは「何かいい企画ない?」と丸投げしないことです。目的と制約を渡して複数案を出させ、人が選んで磨く——この頼み方に変えるだけで、白紙とにらめっこする時間がなくなり、ゼロを1にするスピードが大きく変わります。私たち Techt は、新しいサービスや提案の企画のたたき台づくりを Claude Code(クロードコード)という AI の道具で行っている会社です。0→1を速くするのはAI、磨いて決めるのは人——この分担で毎週のように企画を形にしているからこそ、頼み方の実例とつまずきどころまで含めてお伝えできます。

この記事は、AIやITにくわしくない経営者・個人事業主の方に向けて、2026年7月時点の情報で、AIを使った企画のたたき台づくりを手順に沿って整理したものです。アイデア出しやブレストの相手が社内にいない、1人や少人数で経営している方ほど役立つ内容です。

この記事で分かること

  • AIが企画づくりのどこを手伝えて、どこは人の仕事なのか
  • 頼む前にそろえる「目的・制約・材料」の3点セット
  • Claude Codeで企画のたたき台を作る5ステップ(Techtの実例)
  • アイデア出し・ブレストで案の幅を広げる頼み方のコツ
  • たたき台を企画書に仕上げるときの注意点(数字の落とし穴)

AIは企画づくりのどこを手伝えるのか

最初に、AIにできること・できないことをはっきりさせておきます。AIはテキストベースの道具です。あなたのパソコンの中やメール・売上表を勝手に開いて情報を集めることはありません。人が「こういう事業をしていて、こういう企画を考えたい」と材料を渡し、AIがそれをもとに案や下書きを出し、人が内容を確かめて使う——この流れが基本です。「AIに任せれば企画が全自動で出てくる」わけではない、という前提をまず押さえてください。

そのうえで、企画づくりの工程を分解すると、AIが得意な部分は明確です。案を数多く出す、視点を変えて考え直す、バラバラのメモを構成に整理する、文章として形にする——いわば「ゼロを1にする」部分はAIの独壇場です。一方、案の根拠になる事実(市場の数字・顧客の声)を保証すること、そして「どの案でいくか」を決めることは人の仕事です。この役割分担さえ守れば、企画のたたき台づくりは今日からAIに手伝わせることができます。

頼む前にそろえる「3点セット」——目的・制約・材料

AIへの頼み方で結果が一番変わるのは、最初に何を渡すかです。白紙のまま「アイデアをください」と頼むと、どの会社にも当てはまる平均的な案しか返ってきません。逆に、次の3点セットを渡すだけで、案は一気に「自分の会社の企画」になります。

渡すもの中身
① 目的この企画で何を実現したいか「常連さんの来店回数を増やしたい」「新規の問い合わせを増やしたい」
② 制約予算・期間・人手など、動かせない条件「予算は月3万円まで」「実働は自分1人」「来月中に始めたい」
③ 材料事業の情報・手元にある事実事業内容の説明、よくあるお客様の声、過去にやった施策のメモ

きれいに整えて渡す必要はありません。箇条書きのメモや、思いつくままの口語で十分です。むしろ制約(②)を正直に渡すことが大事で、「予算ほぼゼロ・人手は自分だけ」と伝えれば、AIはその条件で実行できる案だけを考えてくれます。制約を隠して立派な案をもらっても、実行できなければたたき台になりません。

Claude Codeで企画のたたき台を作る5ステップ

3点セットがそろったら、実際に作っていきます。私たちTechtが自社の企画づくりで回している流れは、次の5ステップです。慣れれば、白紙から「議論できるたたき台」までは短時間で到達できます。

企画のたたき台づくりの流れを示す図。人が目的と制約をAIに渡し、AIが複数のたたき台案を出し、人が案を選んで磨き上げる、という3つの段階が矢印でつながれている

1. 目的・制約・材料を渡す

まず3点セットをそのまま伝えます。「飲食店をやっています。常連さんの来店回数を増やしたい。予算は月3万円、実働は自分1人。お客様からは◯◯という声が多いです。この条件で企画のたたき台を考えたい」——この程度の文章で十分です。Claude Codeなら、事業内容や過去の企画メモをファイルとして覚えさせておけるので、2回目以降は「いつもの前提で、今回は◯◯の企画を」と頼むだけで済みます。

2. たたき台を「3案」で出してもらう

ここが一番のコツです。「企画案をください」ではなく、「方向性の違う案を3つください」と数を指定します。1案だけ求めると、AIは一番無難な平均案を出してきます。3案並べば「A案は手堅い、B案は面白いが手間が重い、C案は方向が違う」と比較ができ、自分の判断基準もはっきりします。たたき台の価値は正解を当てることではなく、議論と判断の出発点になることです。

3. 気になる案を深掘りする

3案のうち気になったものを選び、「B案をもう少し具体的に。最初の1ヶ月に何をするかまで落として」と会話で掘り下げます。ここで「実は平日の昼が暇で……」と後出しの情報を足しても構いません。会話のたびに案が自分の状況に寄っていくのが、AIとの企画づくりの気持ちよさです。

4. 弱点をAI自身に指摘させる

案が固まってきたら、「この案の弱点や、うまくいかないとしたら何が原因かを挙げてください」と頼みます。自分が乗り気の案ほど欠点が見えなくなるものですが、AIは遠慮なく穴を挙げてくれます。1人で企画を考えるときに欠けがちな「反対役」を、ここで補えます。

5. 人が選んで、事実を確認して磨く

最後は人の仕事です。どの案でいくかを決め、案の中に出てきた数字や前提(客数・相場・競合の動きなど)を自分の目で確かめてから、実行に移すか、企画書に仕上げます。AIが出したたたき台はあくまで下書きであり、事実確認と決断を経てはじめて「自分の企画」になります。

アイデア出し・ブレストで案の幅を広げる頼み方

たたき台づくりと並んで、AIはブレスト(ブレインストーミング=案を広げる話し合い)の相手としても優秀です。1人経営や少人数の会社では「壁打ち相手がいない」のが企画の最大の壁ですが、AIなら深夜でも何度でも付き合ってくれます。案の幅を広げたいときは、次のような頼み方が効きます。

  • 数で押す:「まず10個、質は問わないので挙げてください」。玉石混交でよいと伝えると、自分では思いつかない角度の案が混ざります。
  • 視点を切り替える:「常連のお客様の目線では?」「競合ならどう攻める?」「コストを一切かけないなら?」と、同じテーマを別の立場から考え直させます。
  • 極端な案も混ぜてもらう:「現実的な案2つと、あえて振り切った案1つ」と頼むと、振り切った案が発想の起点になることがあります。
  • 前提を疑わせる:「そもそもこの目的設定は正しいですか?」と聞くと、企画の手前にある課題設定のずれに気づけることがあります。

こうした発散のさせ方は、経営判断の相談相手としてAIを使う「壁打ち」の使い方と地続きです。くわしくは経営の壁打ち相手にAIを使う方法で整理しています。

たたき台を「企画書」に仕上げるとき

たたき台が固まったら、社内やお客様・金融機関に見せる企画書へ仕上げる段階です。ここもAIが得意で、「背景・目的・企画内容・体制・費用・スケジュールの構成で企画書の下書きにしてください」と頼めば、会話の内容を汲んだ下書きが出てきます。構成への流し込みと文章化はAIに任せ、人は中身の正しさに集中するのが効率的です。

ただし、仕上げの段階でこそ注意が必要です。AIは文章を整えるとき、もっともらしい数字や根拠を「それらしく」補ってしまうことがあります。市場規模・相場・統計のような数字が下書きに現れたら、それは未確認情報だと考えて、必ず一次情報(官公庁の統計や業界団体の資料など)で確かめてください。市場の裏付けを自分で調べる手順は市場調査をAIと進める方法にまとめています。

企画づくりならではの2つの落とし穴:1つ目は1案だけもらって、そのまま採用してしまうことです。丸投げで出てきた1案は平均的な案であることが多く、比較せずに採用すると「どこかで見た企画」になります。必ず複数案を出させ、人が選んでください。2つ目はAIが補った数字を信じてしまうことです。企画書に載せる市場の数字・相場・実績は、AIの下書きに出てきた時点では未確認情報です。一次情報での裏取りを済ませてから外に出す——ここだけは省略しないでください。

よくある質問

AIで企画のたたき台は作れますか?

作れます。ただしAIが得意なのは「ゼロを1にする最初の案出し」で、企画の決定や事実確認までは任せられません。目的と制約を渡せば、たたき台を複数案、短時間で用意できます。人はその中から選び、数字や事実を確かめて磨く役割に集中する、という分担が現実的です。私たちTechtも、新しいサービスや提案の企画はまずClaude Codeにたたき台を出させ、人が磨く流れで作っています。

企画のアイデア出し・ブレストをAIに頼むコツはありますか?

「何かいい企画はない?」と丸投げせず、目的・制約・材料の3点を渡した上で「3案ください」と数を指定するのがコツです。1案だけ求めると平均的な案になりがちですが、複数案なら比較して選べます。さらに「顧客の目線で」「あえて反対意見を」と視点を変えて追加の案を出させると、1人で考えるだけでは出ない幅が生まれます。ブレスト相手が社内にいない1人経営者ほど効果を実感しやすい使い方です。

AIが作った企画書はそのまま使えますか?

そのまま使うのは避けてください。AIはもっともらしい市場の数字や根拠を作ってしまうことがあり、企画書に未確認の数字が残ると提案全体の信頼を損ないます。たたき台の構成や文章はAIの下書きをベースにして構いませんが、数字・事実・固有名詞は必ず人が一次情報で確認してから載せてください。速く形にするのはAI、事実の正しさと最終判断は人——この線引きが企画書づくりの基本です。

企画づくりで、Claude Codeとチャット型のAIは何が違いますか?

一番の違いは、自社の前提情報をファイルとして覚えさせておける点です。チャット型のAIでは毎回、事業内容や過去の経緯を説明し直すことになりがちですが、Claude Codeは会社の概要・商品・過去の企画メモを手元のファイルとして参照しながら案を出せます。2回目以降は「この前提で新しい企画のたたき台を」と頼むだけで済み、前提を踏まえた分だけ案の的も絞れます。私たちTechtもこの形で企画づくりを回しています。

企画のためにAIへ社内情報を渡しても大丈夫ですか?

渡す範囲を自分で決めることが前提です。AIはあなたのパソコンの中やメール・顧客リストを勝手に集めることはなく、人が渡した情報だけを材料にします。だからこそ、顧客の個人情報や取引先の機密は渡さず、事業内容・企画の目的・公開してよい範囲の情報に絞るのが安全です。取引先に関わる資料を企画の材料にしたい場合は、先方の了承を取ってから使うようにしましょう。

まとめ

  • 企画のたたき台はAIで作れる。ただし丸投げは平均的な案しか生まない。目的・制約・材料の3点セットを渡す
  • 案は必ず「3案」など数を指定して出させ、人が比較して選ぶ。たたき台の価値は議論の出発点になること
  • 深掘り→弱点指摘→人が磨く、の順で会話を重ねると、案が自分の会社の企画に育っていく
  • Claude Codeなら事業内容や過去の企画メモをファイルで覚えさせられ、2回目以降は頼むだけでたたき台が出る
  • AIの下書きに出てくる数字・根拠は未確認情報。企画書に載せる前に必ず人が一次情報で裏取りする

企画が進まない一番の原因は、能力ではなく「白紙から始める負荷」です。目的と制約を渡して複数案を出させ、選んで磨く——この頼み方を一度覚えれば、思いついたその日のうちに、たたき台を手にして考え始められます。Techt は、自社の実務(HP制作・経理・企画・資料作成)を Claude Code で回している経験をもとに、経営者・個人事業主の方のAI活用の相談を受けています。自社の企画づくりにどう組み込むか迷ったら、無料相談でお気軽にどうぞ。これからAIを使い始める方はClaude Codeの始め方から読んでいただくのがおすすめです。